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「ねぇ見て、」
柏「え？」
「柏餅がいっぱい並んでる」
柏「あ、もうすぐこどもの日だから…」
「柏ちゃん買わなくていいの？」
柏「ね〜いじってるでしょ！笑」
帰り道、
スーパーの店頭で大量に売り出されている柏餅を指さして
そんなやり取り。
何か…分かんないけど、私絡み方侯隆君みたいになってる？
笑ってる柏ちゃんを見ながらちょっとよぎって、
気を付けなきゃな、と思う私。
「…じゃあ、私こっちの電車だから」
柏「うん、」
「…今日、本当にありがとう。また行こ」
柏「もちろん！また行きたいし…」
「…？」
柏「…また、ライブでも、会えたら嬉しいな、」
「…柏ちゃん…」
柏「じゃあ！また連絡するね！」
ばいばい！って元気よく手を振って、自分の方向へと去っていく。
…ライブでも、か。
結局最後まで休養のことも
その理由についても触れなかったけど、
それでも何かを感じ取ってくれた…のかな。
単純に流れとしてそう言ってくれただけだったのか、
事情が分からないなりに
戻ってきてほしいというメッセージだったのか。
駅のホームへと繋がる階段を下りながら、
それなら私はどう返せば良かったのか、ふと考えた。
.
安「…なに食べてんのー？」
「あ…柏餅です」
…柏ちゃんに会って、まんまと柏餅を食べたくなり
買ってきてしまった私。
今日はこどもの日。
めっちゃ律儀に風習を遂行する人だと思われたら
何かちょっとだけ恥ずかしいかも…とか考えて
こそこそ食べてたけど、流石にバレますね。
章大君に興味を持たれて、皆さんが集まって来る。
「…良かったら食べてください」
丸「ええの？わーい」
「ちまきもあります」
村「関西仕様や」
「みそあんもあります」
渋「めっちゃあるやんけ」
…だって、本当は初めから皆で食べたくて。
おすそ分けできないかな、って思いながら買って来た。
やめると言っても休むと言っても
平気な顔で傍に居続けてくれる皆さんだけど、
私は当然、気まずい思いもある。
だからきっかけが欲しくて…
錦「今日こどもの日か」
大「ああ、そういうこと？」
横「めっちゃ律儀に風習遂行するやん」
「…ふっ、笑」
横「何やねん」
…でも、不思議なくらいお構いなしな彼らを見て
私はその優しさを何度も噛み締めることしかできなかった。
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2022年5月5日 8時
