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※現在
二人ともご飯を食べ終え、定食屋を出る。
「....ほら...」
すると急にトシちゃんが私の前に背を向けしゃがんだ。
『....はい??』
「いいから早く黙っておぶられろ...
その足じゃ歩けねぇだろ」
『いや大丈_____ブチッッ!
ちゃんと歩けるところを見せようと足を踏み出した瞬間、
緒が切れた.....
「...ったく...ほーら、はーやーくー」
緒が切れてしまっては、歩けるものも歩けない...
急かされた私は、渋々トシちゃんの背中に乗った。
「....おい..落ちたくなきゃしっかり引っ付いとけ」
『う..うん...』
体全体がトシちゃんの体と密着する。
さっき昔のことを思い出してたからか、増して心臓の音がうるさい。
これじゃトシちゃんにも伝わっちゃうよ...
『...ねぇトシちゃん』
「あ?」
『...私ね..ずっとトシちゃんに謝りたかったことがあるの』
「...十年越しにか」
フッ..と鼻で笑うトシちゃん。
『...昔、私達が最後に会った日...
私、トシちゃんに..何の応援の言葉もかけてあげられなかったでしょ?』
「.....」
『...自分のことばっかで...だから...
ちゃんと見送ってあげられなくて...ごめんなさい』
ずっと後悔していたことを、自分の口で直接謝ることができて、
何だか心の中が少し軽くなったような気がした。
「.....んなこと気にしてたのか...」
『...うん』
「.....つーか謝らなきゃいけねぇのは俺のほうだろーが...」
『え?何?』
トシちゃんの背中にいる私は呟きのような声が聞き取れず、聞き返しても、
「..んでもねぇ」
ぶっきらぼうにそう言うだけ。
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てい(プロフ) - 都さん» 鬼なのにちゃん付で呼ばれる土方殿それだけで可愛くてしょうがないですね(/_;)読んで頂きありがとうございます! (2020年9月30日 23時) (レス) id: 51fbc336c0 (このIDを非表示/違反報告)
都 - 面白かったです!いつもは土方さんって呼んでいるんですが(自分の中で)、今日からはトシちゃんって呼んでみようかなって思いました(笑) (2020年9月30日 17時) (レス) id: 89cdf63d52 (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - 陽渚さん» ありがとうございます(;;) (2020年9月2日 3時) (レス) id: 51fbc336c0 (このIDを非表示/違反報告)
陽渚(プロフ) - すごく良きです! (2020年9月2日 0時) (レス) id: 0a67e21c60 (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - 光華さん» 嬉しいお言葉のコメントありがとうございます(T^T) (2020年9月1日 7時) (レス) id: 51fbc336c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てい | 作成日時:2020年8月13日 16時