【銀魂】幼なじみのトシちゃん【土方十四郎】

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寝ていたはずのトシちゃんの声...

ゆっくり視線を下にやる。


....ばっちり目を開けたトシちゃんと目が合う。


.....え？何でトシちゃん起きてんの.....？は...？

いや...やばいどころの話じゃないんですけど.....

超睨みながらこっち見上げてるんですけど......



私は焦りと羞恥心で、顔の温度がどんどん上昇し、
何も言えず目を泳がせていると、

トシちゃんは私の膝の上に乗っていた頭を起こし、
私のほうを向いて体勢を立て直し、腕を組み下を向いた。


.....これ本気で怒ってるよ.....

好きでもない女にキスなんて....



『.....トシちゃん....ごめん....その....畳だと痛そうだったからつい.....』

敢えてキスのことはスルー...


でもトシちゃんは目線だけこちらに向け、また無言で睨みつけてくる。


.....今にも殺されそうだ......


『....怒ってるよね....？』


トシちゃんのこんな表情見るのは初めてで、
距離を取るように座ったまま、ズルズルと後ずさりする。


.....が。

どうしようもなく怒っている様子のトシちゃんも、
一緒にズルズルと付いてくる。


....背中に壁がぴったりと付いてしまった。



...またトシちゃんは下を向く。


...何で何も言わないの？！
怒鳴られた方がまだマシなんですけど...？！


この状況にどうしたらいいのか分からなく、私も黙る。

『.....』

「.....」




「....おい」

トシちゃんがやっと口を開いた。

『...っはい.....』

「....手...貸せ」

何を言われるのかと思ったら.....手.....？

『.....はい...』

今の私に拒否権はない....

スッと右手を差し出した。

「...両方」

『....はい....』


素直に差し出された両手に、
トシちゃんは自分の手を片方ずつ絡ませた。

予想外の突然の恋人繋ぎに、私の心臓は飛び跳ねる。

自分でも顔が赤くなっているのが分かり、咄嗟に下を向く。



....にしても、一体何がしたいんだろうか....？




「....なぁA....」

少しの沈黙の後、トシちゃんが私の名前を呼んだ。


昔から、たまにしか名前で呼んでくれないトシちゃんの口から、
自分の名が出るのは、貴重で、大切だった。



下を向いていた私は、トシちゃんの呼びかけに、
顔を上げた..


その瞬間_______



トシちゃんと繋がれた両手は背中に回され、


フワっと香るトシちゃんの匂い、


目の前にはトシちゃんの綺麗な睫毛、


唇に感じる柔らかい感触、



その一瞬の出来事に、私は頭が真っ白になった。

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