【銀魂】幼なじみのトシちゃん【土方十四郎】

（2） ページ2

______時刻は１９時半を回るところだった。

っていうかもうこんな時間だったんだ...

ボーっとひたすら歩いてたから時間なんて見てなかったや...


トシちゃんと並んで歩く賑やかな江戸の街は、
私達の何とも言えない空気を少し誤魔化してくれるみたいだ。


ふと、隣を歩くトシちゃんの横顔に目をやる。

いつから吸うようになったのか、
煙草を咥える、その昔とは違う色気漂う横顔に思わず見惚れてしまう。


私の視線に気付いたのか、トシちゃんは目だけをこちらに向け、

「...んだよ..」

とだけ言った。


『....たっ..煙草っ..！』

「あ、臭かったか悪ぃ..」

咄嗟に出てしまった私の言葉に、
トシちゃんは煙草を口から離す。


『あぁ違う違う！！
　...その...吸ってみたいな..って..』

流石に煙草吸ってる横顔がセクシーで見てた、なんて言えない...


「....ん...これやるよ」

トシちゃんが差し出してきたのは、
さっきまで自分が咥えていた煙草。

『..いいの？』

...というかガッツリ関節キスなのでは...

...この歳になっても女として見られてないのかぁ...


心の中で勝手に傷付きながら問うと、無言で、ホレとでも言うように私の目の前に差し出す。


1人でドキドキしながらそれを貰い、一口吸ってみる。


.....スゥーー
ゲホッ..ゲホッ...


『やっぱゲホッ..無理...』

むせながらトシちゃんに煙草を返すと、再びその煙草を咥え、

「..ったくアホかお前は...」

と言いながら背中を優しくさすってくれる。


久しぶりにトシちゃんの不器用な優しさに触れ、胸が熱くなるのを感じた。

（3）→←（1）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す