流星群の奇跡【後編】

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通話の終わりを告げる挨拶を耳にして、この状況に憂える自分を隠し立ち上がる。


「ニカ、ありがとな」
「いえいえ。ガヤミツにメロメロなんだもん。俺まで照れちゃうし」


めでたそうにそう言って笑うニカは、なんの曇もない想いで祝福をしてくれてんだと分かる。
だから余計に自分がちっぽけに感じて惨めになる。



ニカには感謝しかないのに、藤ヶ谷に求められてるニカに対して妬みそうになるそんな自分が嫌だ。



「マジで感謝してる。泊まってってよ。」
「あ、うん。ありがとう。そうさせてもらうわ」



時間も時間だし
服はここにあるから、ニカがウチに泊まってもなんら問題ない。
最近はマネの送迎は断りタクシーで互いに現場に向かってるし。


よっぽど、絶対迎えに行きます！って押し切られた日は、互いのマンションまでタクシーで向かっていた。
そんな生活にも少しづつ悲しいことに慣れてきていた。


「あ、そー言えばさっきミツ戻れる方法がわかったかもって言ってたよね？！」
「あー、」



藤ヶ谷と付き合いたいとニカに頼んだ時に、漏らしたことだった。
憶測に過ぎないが、なんとなく確信があった。



「俺らが入れ替わった時、たまたま流星群の日だったんだ。あん時俺、流れ星観たって言ったろ？」
「あ！言った言った！それ聴いて俺振り返ってバランス崩したもん！」
「そうそうあん時風も強かったんだよな」



二人であの夜の記憶を呼び起こす。
青白く光る星。
うっすらかかる雲。
雲があれば星は隠れるはずなのに、
あの日は、なんとも不思議な夜空をしていた。



「もしかしてその流星群が関係してんの？」
「まあ、そう睨んだわけ。何度試しても戻んねーだろ？あの夜の再現しても。何かが欠けてんのかなって」
「なるほど…」
「試してみる価値はあると思わねえ？」



あの日から二週間ちょっと経っている。


「確かに…どうせ今も戻んないんだもん。なんだって試したい」



次の流星群を調べたら
あと約二週間と少しで、その日は訪れる予測になってた。
雨が降らなければいいけど…



「よっし！試そうぜ！何でもやってやろう！」
「実はちょっと千賀の情緒が不安定になってきてて…ミツの体なのに…そのちょっと…」


言いずらそうに笑うニカの突然の爆弾発言に、身を捩る。



「ちょ、千賀にはわりぃけどそれは困る！」


どっちがどっちとか細かいことは聞く気ねーけど、それはどっちにしろ困る、


咄嗟に両肩を掴むとニカは慌てふためいた。

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