3.魔王サマに仕えます？【小説】 (ページ22)

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【魔王側】束の間の夢モモハページ22

＿＿＿＿１歳になる頃、俺は初めて生き物を殺した。

蟻を潰した。

近くにいた大人が、元気な子だ、と俺の頭を優しく撫でた。

５歳になった。

蝶を潰した。

大人は、苦笑いして俺を撫でる。

８歳になった。

俺は猫を殺した。

大人は撫でる手を拳に変え、俺に振り下ろした。倒れた俺の周りには、もう誰も居なかった。

みんな、生き物だろ。なんでだよ。

俺は静かに立ち上がった。

「＿＿俺は、魔王になる」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「…王様。魔王様」

「…んあ？なんだ、空汝か……」

寝ないでください、と布団をひっぺがされる。

身を縮こませ、翼で体を包み込む俺に、空汝はやれやれとため息をついた。

「朝ですから起きてください。あと、ここではエンジェルと呼んでください」

「えー。だりい」

いいから、と替えの服を手渡され、空汝、あー、エンジェルが部屋から出て行く。俺はその様子をぼーっと見つめたあと、頭をぽりぽりと掻いた。

「はー。……着替えるか」

俺は寝巻きを勢いよく、上下両方脱ぎ始めた。側から見たら変な光景だ。１４歳の男がへそだけ見えた状態で、脱ぎ途中の服で顔が隠れている。下に至っては半分しか脱げて居ないから、パンツ丸出しだ。これが魔王の現実である。

とまあフラグは立つわけで。

「失礼します！黑印さんがっ！？」

「……オリ、てめぇ入る時はノックしろって言ったよな、殺すぞ」

「し、失礼しました！！」

バタンッと勢いよく閉じられる扉。俺は上を脱ぐと冷たい視線を送った。

さっきの俺のセリフとかマジ思春期かよ。

……魔王の身体には鞭や刃物の跡が多数残されて居た。

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「随分久しぶりじゃねェか、黑印」

「そうみたいだな」

俺は王様椅子に腰掛け、ひざまずく黑印を見下ろす。周りには大勢の部下が。皆、二人の行く末を見守っている。

「んで、何しに来たんだ？」

「そりゃあ勿論」

そう言うと黑印は顔を上げ妖艶な笑みを浮かべる。指を鳴らし、ゲートを開いた。部下が構える中、俺は無表情でゲートを見やる。

そこから出て来たのは。

「これは……」

オリが顔をしかめると、黑印がああ、と応えた。

「反対勢力だった一国、滅ぼして来たぜ。これは国民全員の首」

だから、魔王様。

「俺を許してくれないかい？」