3.魔王サマに仕えます？【小説】 (ページ17)

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【魔王側】帳尻合わせモモハページ17

「んだよ、アイツ……」

自分で死にやがった。

俺自身が引き込んでいてなんだが、すごい不快だ。

ちっ、と舌打ちして、俺は元の世界へのゲートを開く。お陰で無傷だってんだ、畜生。

光に包まれ、俺は自分のワールドから去った。

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「…は？」

「随分遅いご帰還ですね、黑印さん」

人間が本を閉じ、ため息をつく。

「ほーんと、待ちくたびれましたよ」

兎の獣人がスタンピングしてみせる。

「主様もお疲れですよね」

馬の獣人が鼻を鳴らす。

「まあ、なんだ。魔王サマが無傷で何よりだねぇ」

蒼い妖精が華やかに笑う。

そして。

「そうだな。疲れたし、とっとと終わらせよーぜ。なぁ、黑印」

「お前っ」

黑印は目を見開いた。それはそうだ。

冷徹な目をした魔王軍が、集結していた。その中心にいる者こそ。

「魔王、エルドラド…！？」

「おう、黑印。元気かー？」

赤髪癖っ毛の、悪魔の少年。

なんで、と困惑する黑印に、知らないのかお前、と狼我が話しかける。

「魔王様の得意技『シャドー』。自分と魔力も見た目も何もかも同じ分身を出現できるんだ」

空汝がそうね、と引き継いだ。

「あなたがワールド内で見たのは彼の分身。魔王様はずっとエクウスの影に居たのよ」

わかったか？と魔王が笑った。

「ってことで、鈴猫。黒円吸魔(ブラックホール)用意」

「あいあいさーっと！」

魔王軍の中から、鈴猫が上空へ飛行。黑印に笑いかける。

「ま、待て…」

「そんじゃ、ばいばい悪魔のセンパイ♪黒円吸魔(ブラックホール)！」

凄まじい吸引力。魔王軍の古株を除く全員が目を瞑る。

再び目を開けると。

「黑印が、いない」

「黒円吸魔(ブラックホール)に吸い込まれたんだ！鈴猫やったな！」

「はは、それほどでもー！」

みんなが楽しく騒ぎ始める中、ノエルがエルドラドに耳打ちする。

「アイツ、死んでないですよね」

側に居たオリが、頷く。

「咄嗟にワールドに逃げ込みましたか。……どうするんです、魔王様？」

しーらね、とエルドラドははしゃぐ仲間の方を向く。

「ヤツがまた襲って来たら殺せばいい話だ。殺られる前に殺れってな」

にしし、と笑いのけた魔王に、二人は顔を見合わせ苦笑した。

「「了解しました、魔王様」」

魔王軍は、城へと去っていった。