3.魔王サマに仕えます？【小説】 (ページ15)

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【魔王側】敵味方モモハページ15

「ちっ…！」

「主様、ご無事ですか！？」

視界いっぱいに広がるエクウスの顔。パッと上半身を起こし、辺りを見回す。そこは最初にいた草原だった。

「エクウス。お前、歌泉見なかったか？」

「包帯の女ですか？」

そういえば、とエクウスは快晴の空を仰いだ。

「遠くの方に、主様とは別の気配が地上に落ちていく気配が……」

アイツは脱出できたってことか。

人間があの高さから落ちて無事かってのはわからねえけど。

俺はゆっくりと立ち上がる。黒い翼からは、血が滴る。

痛みに俺が顔をしかめると、慌ててエクウスが俺を支えた。

「主様……」

「ちっくしょ…んだよ。好き勝手しやがって。ホントめんどくせぇ……」

黑印が近づいてきている。多分歌泉を連れて行った俺をもう一度世界に引き摺り込んで、『遊ぶ』つもりだ。

「ほんっと、中二病はめんどくせぇ」

そんな時、ふと爽やかな風が俺たちを包み込んだ。傷が治っていく。

エクウスが戸惑う中、俺は豪快に笑った。

「ふはははは！歌泉！アイツまだ生きてんのかよ、しぶてぇヤツ！」

そんな生命力あんなら、いつ勧誘に行っても大丈夫ってことだよな。この回復で、借りを返したってことか。

＿＿＿＿《新月黒夜窮奇》なんざ、俺は知らん。

悪魔とて寿命は人間並みだ。これはどの種族にも共通する。ましてや、サタンなんてもんも全くもって知らねえ。最強の一族なんて、この世にはない。

「…エクウス。お前、さっき俺が命令したこと覚えてるよな」

「はい。魔王軍集結の報せですよね」

エクウスの影がゆらりと揺れた。

俺はにやりと妖艶な笑みを浮かべる。

「そうだ。俺はこれから黑印のところに行く。ここで落ち合おうぜ」

エクウスはこく、と頷くと、振り返らずに城へ走り去って行った。

＿＿＿＿世の生物は皆、人生の幸不幸の量が決まってるらしい。

今んところ俺は不幸でアイツが幸ってところか。

全身が光に包まれ、辺りの景色が変わっていく。

「さて、と。魔王サマ、頑張ってやっか」

お前の帳尻、合わせてやらぁ。

＿＿＿＿黑印。