3.魔王サマに仕えます？【小説】 (ページ13)

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【勇者側】　知ってる匂い　過去のトラウマ　/ロキページ13

「外に出るの、初めてなんですか？」

「え…あ、はい。そうです。」

そわそわと上を見たり、あたりを見たりしてる様子を見てかそう聞いてきた。

確か、ルカ…さんだった。ルカさんは旅人だと言っていた。

「ルカ……さんはどんな所に行ってきたんですか？」

「色々です。遺跡にもいろんな街にも行きました。」

「そうなんですか。凄いですね！僕も行きたいです！」

そんな話をしていると、ルカさんの真っ黒なマントが目に入った。

何か…信仰でもしているのだろうか？父さんがそんな人間もいると言っていたっけ。

好奇心で聞いてみた

「…ルカさんは、何か宗教でも…」

それがいけなかった

真っ赤なその目は、一気に鋭くなっていく。

「…そんな戯言を私は信じてなんか居ませんよ。あるのは現実と真実のみ。神なんてものはいません。」

「そ、そうですか…。なんか……ごめんなさい」

その時、かすかに匂いが変わった。

いや、長い間に鼻が可笑しくなってたのかもしれない。

一気に毛が逆立っていく。

「…？神羅さん？」

少し心配そうに覗くルカさんに、僕は後ずさる。

(この匂いを、僕は知ってる………！！)

頭に、狂喜に浮かぶあいつの顔が浮かんだ

(………悪魔の、匂いだ…！！)

「神羅さん、顔が真っ青ですよ？大丈夫ですか…？」

「ﾋ…!こ、来ないでください！」

途端、氷が僕とルカさんの間に荒々しく連なった。

魔法が暴走したみたいだ。

そんな事は、真っ白になった頭の中にははいらない。

(逃げなきゃ……！怖い！)

“恐怖”に一瞬で支配されてしまった。

ダッっと駆け出す。

さっきまで怖くなかったのに、さっきまで大丈夫だったのに…！！

ルカさんがもう、あざ笑うようにしか見えない…！

_____________

「…その顔、とってもいいですね…！」

綺麗な恐怖。歪んだその顔

何故だか私を魅了した。

“また、アノ顔がみタイ…”

そう思った。

「追いかけましょうか」

そう呟いて
また、少年を追いかけた

_____________

「はぁ…はぁ…！」

まずい、足が言うことを聞かない！

後ろからはどんどんルカさんが追いかけてきてるみたいだ。

このままだとあいつにされたみたいな事をまたされる…！

「《朧雪華・山狼》！…お願い！乗せて！」

僕の手から生まれでた狼は『クゥん！』と鳴いて、乗せてくれた。

『この先は人里だ。どうする？』

「もう、人のとこに逃げるよ！お願い…」

『分かった』

駆け込む。

そこには勇者というのが居た