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手袋持ってくれば良かった。 ページ41

仄かに煙草の香が鼻を掠める、賑やかな遊び場。ゲームの電子音や、それらを遊ぶ人々の歓声で大分騒がしい。

晴は何処へ行けばいいのかと、暫し辺りを物珍し気な様子で見回す。その手を引くは、こちらも何気に久々で楽し気なA。こっち、と行く道示せば、口をきゅっと結んで素直についていく。

「まずはこれかな。晴くんできるかなって」

「あー……UFOキャッチャー、ってやつか?」

訝し気に景品飾るパネル触れれば、食い入るようにその向こうを見るわけで。

「お前、アレが欲しいのか」

「ああ、まあね……」

Aが欲しいと言ったのは、大きめのハリネズミを模した縫いぐるみ。抱き枕にしてもよさそうなサイズ感で、彼女はじっとそれを見つめたままでいる。

晴はよし、と小さく意気込むと、財布を開けた。しかし、生憎と札しか入っていなかったため、両替機へと一時出直す。百円玉を数十枚、一気に交換してじゃらじゃらと財布に戻せば、その厚みと重さは結構するものだった。これぞまさにお金持ちって感じだ。

「わあ、財布がパンパンだ……えっとね、ここに百円入れれば、一回できるよ」

言われた通りにお金を入れれば、点滅し始める“1”のボタン。晴は戸惑いつつも、窓の奥見つめたままそれを押す。

暫し沈黙。Aも固唾を飲んで彼の視線と同じ場所を見つめる。そして。

「……あっ!あっ!」

「これでどうだ」

一発で獲った縫いぐるみをどや顔で手に持って見せる彼に、Aは喜びと興奮の入り混じった視線をぶつけた。頬をほんのり蒸気させ、さながら桜色だ。ぐいぐい晴に近寄ると、彼と縫いぐるみを交互に見ながらはしゃぎたてる。

「ありがとう晴くん!そう、私一回も獲れなくて、凄い。ありがと晴くん」

そう言っては、受け取った縫いぐるみを幸せそうに抱きかかえて笑う彼女。ありがとうを連呼しては、縫いぐるみをぎゅっと握る。その一連の動作に、思わず晴は目を逸らした。

「……他のでいいの、ねえのか」

「あ、もしかしてつまんなかったかな。えっとね……」

そんなことない、という彼の言葉も、何処かのゲームの音声や人々の声によって遮られてしまう。Aはぬいぐるみを片手に考え込むが、ふと顔を再び晴に向けた。

「そっか、なら良かった」

聞こえたのか、と彼はまた頬に赤みを差してしまいつつ。二人は次へと向かった。

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レナ - ナ...ナンダッテeeeeee! 遊び尽くす一年・・・!  僕も欲しい!!w 今日はテストでした・・・ agdrghvhfyibuujfhfufkdjjikruuyhv wwwwwwwww (2018年6月22日 17時) (レス) id: ce1804826a (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - レナさん» ふっふっふ、駄目に決まってるでしょう()私は中高一貫なので遊びつくす一年になりそうです、 (2018年6月10日 11時) (レス) id: 7ea4a0fdca (このIDを非表示/違反報告)
レナ - そうだったんですか...!!! テストどうでしたか?私は・・・チーン  そして来週は2連チャンのテスト地獄が待っています。。。今年が受験だからかなぁ (2018年6月10日 7時) (レス) id: ce1804826a (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - レナさん» こちらこそありがとうございます!テスト前です← (2018年5月17日 16時) (レス) id: 7ea4a0fdca (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 更新アザス!!! テスト後の癒しです!! (2018年5月16日 21時) (レス) id: ce1804826a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:モモハ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年6月25日 17時

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