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記念日の約束をすっぽかされたが、怒り悲しみよりも不安の方が強くなっていく。
しかし、アイツに何かあればマネージャーからでも連絡は来るはずだ。
連絡がないのは、忘れてしまったのだろうか。
体調不良なのか、寝過ごしてしまったのか。
自宅に戻ると、シャワーを頭から浴び、サッと汗を流し、寝床へとつくが、眠れなかった。
不安になって、マネージャーに電話をかけてみても眠ってる時間帯なのでそのコール音は止むことなく鳴り続け、留守電に切り替わった。
後で、問い詰めよう。
早朝、7人で仕事がある。
だから、この記念日を一緒に過ごし、一緒に楽屋入りをしようという事にしていた。
薄暗い東の空に昇ってくるひかり。
バルコニーでその光をずっと見詰めていた。
*
時間になりエントランスまで降りた後、路肩に止まっていた車に乗り込んだ。
「おはようございます」
「おはよー」
いつも通りの挨拶に、着信のことについて訊かれることもなく車は動き出した。
携帯を確認しているはずなのに。
仕方なしに自分から、未明の着信について詫びればマネージャーは「電話は着ていませんでしたよ」とさらりと答えていた。
そんなはずは、
掛け間違えたのかと思い、鞄から携帯を取り出し履歴を確認するが、そこにはやっぱりマネージャーの名前が残っていた。
「いやいや、掛けたって」
「えっそうですか?見落としたかもしれません。何かありましたか?」
バックミラー越しにマネージャーとぱっと目が合う。
本当に気付いていないようで「おかしいーなー」と首を傾げていた。
「昨夜、メンバーに何か変わったこととかなかったかなーって。」
藤ヶ谷という固有名詞を出すのを躊躇い包括的に訊けば、マネージャーは特に何もなかったと思いますけど、と割とあやふやに応えていた。
ふじがや、無事だよな......
「次の藤ヶ谷さんをお迎え後そのまま局に入りますので、藤ヶ谷さんに訊いてみたらいかがですか。」
無事なのか、早く確かめたい。
そう告げられた数分後、昨夜来たマンションではないところで車は止まり、車窓から外を覗けば見知らぬマンションのロータリーに藤ヶ谷が立っていた。
見慣れぬ光景に、自然と首を傾げる。
入ってきた藤ヶ谷は、サングラスを掛けていた。
俯きつつ「おはよ」と低い声で呟き、顔さえこっちを向けない。
そのまま真ん中のシートに座ろうとしたその腕をぐいっと引っ張れば、藤ヶ谷の体勢がふっと崩れる。
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まいまい(プロフ) - 無事に還ってこれましたね…でも別れている世界線の2人がまだ結ばれてない!!どうかどうかそっちの2人とYさんのこともよろしくお願いします!! (2021年6月9日 11時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - 1632さん» 1632さんっ!いつもありがとうございます!もうすぐ他の長編が完結するので、こちらも執筆始めます…!長らく更新せず、遅くなってしまい申し訳ございません(;▽;)本当にいつもありがとうございます!感謝でいっぱいです! (2019年10月6日 11時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
1632(プロフ) - こんにちは、北山くん戻れてよかったです!もうひとつの世界の北山くんも幸せになれたかすごく気になります(><)続き楽しみにしております! (2019年10月3日 21時) (レス) id: a09880b79d (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - 魚さん» 魚さまっー!わわー!今作もご覧頂き本当にありがとうございます…!嬉しすぎます(;▽;)いつもありがとうございます!はい!飛び蹴りくらっちゃう恋人のFさん、書いてて楽しかったです!更新またしたいと思いますー!違う北山くん目線、少し不安ですが〜!書きます☆ (2019年9月4日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
魚(プロフ) - 飛び蹴りを食らっちゃう藤ヶ谷さん可愛くて思わず笑ってしまいました!笑 元の世界の北山くんに出会えて何より嬉しいですよね〜(*^^*)! お仕事大変そうですが、お体大切にしてくださいね。゚(゚^ω^゚)゚。!更新また楽しみにしてます〜! (2019年9月2日 1時) (レス) id: cc0d16b1ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももは | 作成日時:2019年8月15日 22時