今夜君が欲しい【前編】

39 K ページ39

そろそろ、くるはず…
週初め。来週分のタイムテーブルを納入したものの連絡が。



期末は忙しかった
そして、俺はたった数週間で信頼を得ていた。
そして、今日は部長は終日会議のため席を外してる。



「北山っ！ちょっと来い！」


デスクから怒鳴り声が飛んでくる


その声にほくそ笑みそうになるのを抑え、怯えるふりをして小走りで血眼になって机をバンッと丸めた雑誌で叩いてるデスクの元まで向かう。



「入稿先からクレームが入った。タイムテーブルがチグハグではないかという御指摘だ。確認したら、俺がチェックしたモノではないものが、入稿されていた。どういう事だ？」



鬼の血相を浮かべるデスク。額には冷や汗だろうか血管も浮き出そうだ。そんなに大切な納入をバイトに任せてる会社のシステムを見直すとかそっちの落ち度はないのだろうか。


まあ、わざとだけど。
こんなミス挽回できる。だって、出来上がったデータは保管してあるんだから。



完璧じゃない後輩を演じるための脚本だ。


そんな真意など到底言えないので肩を震えさせながら、頭を下げた。



「申し訳ございませんでしたっ、」


「だいたいお前は…部長のお気に入りだか何だか知らんが…こんなミスをするなど言語道断だ。
だからその歳になってもバイトのひとつもしなきゃ食ってけねーんだろ」



いるよなー
ミスと関係ない事を持ち出して合わせて叱る人って。
何でそんな事まで言われなきゃならねえんだと机を蹴りたくなったけど、何とか抑えた。



叱ってる暇があれば、早く修正させろよ



「色仕掛けでいつまでも生きていけるなんて思うな
「デスク、大変申し訳ございませんっ！入稿したのは、この私です。北山に聞いて私が確認し入稿致しました」



…え？
……藤ヶ谷...？



声をする方に顔を向ければ、そこには、頭を下げてる藤ヶ谷がいた。
机の角に額が当たりそうな程、腰を曲げ頭を下げてる。


「なので、私の責任です、直ちに相手先にお詫びし、正しいものをお送り致します。」



その勢いに、デスクも圧倒されていた。



「…藤ヶ谷が、送ったのか。おまえはな、一体何年目なんだ、こんな初歩的なミスを。後で始末書を出しなさい」
「承知しました。誠に申し訳ございませんでした」



藤ヶ谷はデスクから原稿を受け取ると、再度頭を下げ…そのまま自分の席へと走っていった。



皆の注目を浴びて。
アイツは社員だから、こんな初歩的なミス…肩身が狭くなるかもしれねぇのに。

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