今夜君が欲しい【前編】

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「…っ、たまっ」


切なげに眉を寄せ、息を吐きながら俺の名を呼ぶガヤを見下ろす。


「たまっ…あっ、ああっ」


濡れた唇が俺を呼び、その僅かに震えた端にキスを落とした。


ガヤはいつも感じてくれてる、と思う。
今朝はもうシないと言っていた。
でも、なんだかんだと流されてくれる。


そして、俺はちいさな蟠り(わだかまり)から起きる嫉妬により、我慢するという昼間の決意も虚しく自制が効かなくなっていた。



俺はガヤという波にいつも溺れている。



でも、ガヤは…



俺には溺れてはいない。


ガヤは可愛くて、色っぽい。
それをどんなに強く掻き抱いても
抱き潰しても、ガヤはいつも綺麗に抱かれる。


声を荒らげたり、涙を流したりはしない。
乱れたりしない。


もっと乱れて、淫らになって欲しいのに。
俺しか見えないと訴えて欲しいのに。


だから、ガヤを何度抱いても、抱き足りないと思うのかもしれない。飽きないのかもしれない。


手に入れてる筈なのに、手に入れてない気がしてるのかもしれない。


「んっ、たまぁ……」


半開きな瞳が俺を煽る。


「ガヤ…っ、気持ちいよ。」


そう小さな形のいい耳元で囁くと
内壁がキツく締まり、下腹部に痺れが集まった。


また、余裕そうに…
ガヤがふわりと微笑んだ。


ガヤと俺の密着していた上半身。
ガヤはその隙間に手を差し入れ、空間を作り出すと…
自分自身を擦り出した。



ぎゅうっと、ガヤが更に俺をキツく締め上げる。
余裕がないのは、いつも
ガヤではなく、俺だ。


2つしか違わない年の差が埋まらない。


それを払拭する様に奥へ奥へと突く。


「あっ、ああっ、ん、んんッ」


声が高くなり、啼く声が小刻みになる。
腕の中にいるガヤの身体が一瞬、ビクッと震え硬直した後…


じわりと、腹に生温いモノが広がった。


「…俺も出そう....」


それを確認して、達したばかりでヒクついてるそこに何度か深く腰を送り、押し付けると



「…イッて？」


ガヤの甘い声を耳の奥で感じながら、


「………ｯ!!!」



欲をナカへと放った。


ほんのりと上気した頬とうるんだ瞳。
涙を流す程にはいかない、その瞳の淵にちゅっ…と音を立て、唇を落とした。



「ガヤ…愛してる」



何度言っても、足りない。
女々しいことを言ってもいい？



「……俺もっ」



ガヤも俺を愛してる…んだよね？
相槌を打ってくれるガヤ。



「一緒にお風呂入ろっか」



満足してくれてる？ガヤ…

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