今夜君が欲しい【前編】

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結局、マンションに戻ったのは日付が変わって一時間後だった。


先に上がったガヤを見送った後、宮田のマンションへと行き誘惑に負けゲームに手を出してしまった。



すごい楽しかった。
時間を忘れ、気付けばこんな時間で慌てて帰宅した。宮田のマンションから自宅マンションは徒歩5分ほどの距離だった。



寝てるよなー、何て思ってスマホを見ると『遅くまでお疲れ様。気をつけて帰ってきてね。』と約二時間前に届いていたから余計良心が痛んだ。


ごめん、ガヤ！


息を切らし、玄関の前のドアへと辿り着くと
膝に手を置き肩でしていた息を整える。


音を立てない様に部屋に入ると廊下に続くドアのガラス戸から光が漏れていた。



「おかえり」
「…ガヤっ！」



可愛い。ホントに、可愛い
シルバーの絹のパジャマ姿のガヤは寝起きなのか、瞼が重そうだった。テロテロの生地が肌に馴染む。
首元のボタンが開いていて、鎖骨に吸い付きたくなる。



「ごめんっ！俺…ゲームしてたら、こんな時間に」



嘘はつきたくなかった。
正直に謝ると腕の中にいるガヤは小さく笑った。



「息抜きも必要だもんな？」



怒ってる気配はなく、恐る恐るガヤの顔を覗いても、ガヤは声通り優しい表情をしていた。



「ホントの事を言ってくれたみたいだから、許してあげる。怒ってねーよ」



仕事をしてたなんて嘘をつかなくて良かったーっと心底胸を撫で下ろした。



「ありがとう。ガヤ、眠れなかったの？」
「んー、ちょっとは寝たんだけど。起きたら隣にタマがいなかったから、心配になって」
「ごめんっっ！」



更にぎゅっと抱き締める。
ああ、ゲームも好きだけど、ガヤも好きだ！
いや、ガヤは愛してる！



途中で切り上げた事にモヤモヤしていたさっきまでの自分を殴ってやりたい。



「いいって。それにさ、」
「ん？」
「北山が今日部長と食事に行ったみたいなんだよねー。何かそれも気になっちゃってさ」
「…はい？愛人だから有り得るんじゃねえの？」
「……だよね」



……ガヤ？
何が、気になってんの？



「いや…昼間さ、部長に連れて行かれる時のアイツ嫌そうだったから。
言い寄られてるのを断りきれないとかだったらどうしよう、って」
「…だとしても、ガヤには関係ないんじゃない？教育係はそこまで関与すべきじゃないよ」
「まあな」



責任感の強いガヤは時に困る。
あんまり関わって欲しくない


「……っ、」



身体が勝手にガヤをソファーの上に押し倒していた。

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