恋は何歳まで出来ますか？

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「…オレは、逢いたくなんかなかった、」



天の邪鬼の口が勝手に動く。
嘘、会いたかった。
孤独を越えて、差し伸べられることのない手を掴むために、何度も宙を舞った自分の手のひら。



逢いたくて堪らなかったクセに。
逢えたことが嬉しくて堪らないクセに。
宮田に逢いたいと言われて涙が溢れそうになるぐらい倒れそうなクセに。


その真意が分からない。
花さんとの復縁を聞かされる？


昔の恋人に会ってみたくなっただけ？
振り向けない。



「……母さんたち出てきてよ。このドッキリはさすがにシャレにならないから」
「裕太くん」
「二階堂さん、健ちゃんどっかで覗いてるんでしょ？」
「………裕太くん、いないんだ」
「………はっ？いないって？」



だって靴だって、あった。
インターホンだって、出た。


「靴は、わざと置いてもらったの。インターホンは…これ」


そう言いながら、背後から出てきた指がさした方向の白い壁に今までなかった画面が映し出された…



『裕太くーん！少し早いけど、クリスマスプレゼントだよっ』
『裕太くん、オレらの家なんだから、ラブ ホには使わないでね！』



画面の中には、満面の笑みな健ちゃんとカワウソみたいにニヤつく二階堂さん。



『宮田くん、この1年の裕太は本当に見てられなかったんだから。一生をかけて償ってくださいね』
『いや、でも…宮田の話が本当なら勝手に勘違いした裕太が悪い。我が息子ながら、思い込みが激しいから…』



母さんと、それに肩が重なるほど寄り添う父さんがいた。



『…煮物できました...って、中継中ですか？』



…誰？



画面の中に映る壁は、うちの壁の色だった。



「遠隔で健ちゃんに操作してもらってたんだ」



『今日は帰らないからっ！その代わりラブ ホにはしないでよ〜』
『二階堂くん、生々しいから本当に止めてっっ！』



宮田と二階堂さんと母さん。
ああ、もう、脳みそがついていかない。


疲れた。


いや、それよりも。
父さんが言っていた…オレの勘違いって？



「ありがとっ！皆っ、ここからはこの宮田が頑張ります…！」



そう言うと、スマホの画面に触れ、壁に映された映像がプツリと消えた。



「裕太くんの誤解だって、最終日のあの日、オレ電話口で気付いたんだ」
「……？」



誤解…？
ずっと思い出さないように頭から消え去ろうとキツく閉じ込めていたあの最終日を思い出す。
どんなに願っても忘れることなどできなかった日を。

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