恋は何歳まで出来ますか？

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その日はオフのはずだったから、宮田とゆっくりしようと思ってたのに、突然鳴ったマネージャーさんからの呼び出しに、泣く泣くうちを出た。


不規則でスケジュールも中々組めない。
好きで頑張ってるから、いいんだけど…
もうちょい宮田といたかったな…なんて。


それから平日は、宮田に朝食を作った。
母さんが父さんの弁当を作ってる横で、アプリで調べたメニューを作ったり、ただ焼くだけでも味付けに凝ってみたりした。
母さんは何も言わず、父さんの好きなものをお弁当に詰め込んでいた。


母さんが一番好きだから、
母さんにはこの胸の痛みを打ち明けたくない。


「宮田が可哀想だから！」


そう宣言すると、母さんは「そうだね」と笑った。



「オレは…母さんが一番好きー！」
「母さんは二番目でいいんだよ？」


父さんの弁当に作り置きしてある唐揚げを詰め込んでる母さんを後ろからぎゅっと抱きしめる。
腕にちょうど入るこの感じ。
栗色のショートカット。
耳にかけてる横の髪が綺麗に流れてる。



「一番！」
「それは困るな〜」



そうしてると、顔を洗った父さんがやってきて、剥がされる。
このいつもの日常に、今は弟じゃなくて…



それを見てるのは、
オレの朝食を待ってくれてる宮田。



「みつちゃんと裕太くんも絵になるね〜」
「みや！」



茶化す宮田に、怒る父さん。
こんな生活が日常になってほしい。


でも、宮田がここを去る日は
日々削られていく。
カウントダウンが迫ってくる。



「今日はホットサンドだっ！」
「美味しそう〜」


宮田のために、ホットサンドを作る器具だって買ったのは秘密。番組で当たったものをそのまま買い取った。


「ねこちゃん可愛い！」
「でしょ。宮田には勿体無いな」
「んー！チーズとろける！美味しい！」



美味しいと言うその唇にはチーズが少しついていた。その向かいに座る。
コーヒーとホットサンド。
シンプルな朝の時間。


コーヒーの香りが心地良かった。


「これは御礼しないとね。裕太くん、明日の夜のご予定は？」
「…別に。仕事も夕方まで」
「丁度よかった。じゃあさ、食事行こうか」
「…え？」
「ご馳走させてよ。ねー！ガヤさんみつちゃん、明日の夜裕太くん借りていいー？」



ホットサンドをパクリとかじった後、そう言ってくれた。



「もちろん！」


父さんは嬉しそうに答え、


「裕太を宜しくね」


母さんは優しくそう答えた。


自分は、ニヤついてしまうのをバレぬよう俯いた。

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