恋は何歳まで出来ますか？

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時は早いもので
宮田と別れてから一年が過ぎようとしていた。
ひとりで過ごす冬。
仕事も学校生活も忙しくて、バタバタしていた。
映画なども出させていただいて、必死に追いついていた。追われる毎日をこなしていた。


忙しさに感謝をした。
でも、どんなに忙しくても思い出してしまう。
あいつの笑顔を。優しさを。楽しさを。
面白さを。王子みたいな振る舞いを。
裏切った人を許すことができるお人好しを。



すれ違うカップルを見て、あの彼氏はあの彼女に愛を囁いたりしてるんだろうとか、触れてるんだろうとか、そう思ってしまう自分は人恋しいのかもしれない。


どんな人に告白されても、男でも、女でも。
無理だった。


付き合いたいとさえ、思えなかった。
自分の時間を侵食されるのが嫌だった。
そう言い聞かせていた。



そんな時、半年ぶりぐらいに、二階堂さんから連絡がきた。



『今年の忘年会はウチでやることになったんだー。息子の渉が料理してくれるみたいでさ。
紹介したいし、裕太くんもおいでよ。』

『宮田は来れないから』



宮田がこない忘年会。
宮田は何で来れないんだろう。
花さんとどこかに旅行でも行ってるのだろうか。


どうせ、仕事で予定は詰まってるだろうと思ってマネージャーさんにその指定された日の予定を尋ねてみると、夕方で仕事は終わるらしい。



「母さん、二階堂さんに忘年会誘われたんだけど。オレも行っていいの？」
「もちろん」
「宮田は本当に来ないの？」
「うん。そうみたいだね。宮田くん、あっちで忙しいみたい」



なら、行こうかな。
宮田がいないなら。
その渉って人にも会いたいし。
宮田が向こうで充実している。
その事実が嬉しくもあり、寂しくもあったのは誰にも言えない。



「じゃあ、当日、仕事終わったら二階堂さんのマンションに行くね」
「うん。住所送ろうか？」
「いやいい。二階堂さんに聞いてるから」
「そう」



＊


宮田が待ち合わせをドタキャンした日に、二階堂さんのところへ愚痴をこぼしに行ったのは遠い日なのに、鮮明に覚えてる。
駅からの街並み、順路、マンションのエントランス。全て思い出せる。



あの時イラついて、気持ちをぶつけたら、予想外に否定されて、イラついて。



宮田のことで喜怒哀楽をする自分に少し戸惑った。



夜空を眺めて、思い出すのは…


笑顔しかない。
どんなに困らせても、宮田は笑ってくれていた。


茶色いソファーが並ぶエントランスを越えて、ボタンを押す。

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