未来を変えろ！【後編】

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藤ヶ谷くんの背中を押してから何週間経っても裕太は出て来てはくれなかった。


前にも一度あったけど、あの時はすぐにまた出てきてくれた。
こんなに長い時間出てきてくれないのは初めてだった。



それが何を意味しているのかは考えないようにするけど、やはり考えてしまう。



裕太に謝り続けても裕太はもう応えてくれない。
私が藤ヶ谷くんの背中を押してしまったから。



裕太は違うお母さんの元へといけたのだろうか。


本当にごめんなさい。ごめんね、裕太…


"父さんが先輩に告白をするとオレは生まれない"


そう言っていたのに。
それを無視してしまったから。
せっかく裕太は未来からそれを伝えに来てくれたのに。



喪失感という言葉が初めてしっくり来た。
何もやる気がしない。世界が暗くなっていく。


宏光はそれでも無理をして明るく接していた。
友だちにも藤ヶ谷にも大倉にも。


そんな中放課後、宮田に宏光は呼び出された。
二人で誰もいなくなった教室で隣あわせに座る。



「この前は本当にありがとう。きちんと御礼言えてなくてごめんね。話って...花と何かあった？」



話があると真剣な表情で宮田に言われた宏光は少し緊張で強張っていた。真剣すぎて、心配になる。



「いや、花ちゃんとは仲良くやってるよ。今日はそのことじゃなくて…ガヤさんが先輩と付き合っているって話耳に入ってるよね？」



少し気まずそうな表情で宏光に宮田は問いかけた。
急に出てきた藤ヶ谷の名前に宏光は戸惑いを見せながらも頷く。



「やっぱり。あれ、嘘だから」



次に聞こえてきた言葉は宏光が予想をしていなかった言葉だった。



「嘘って…？でも藤ヶ谷くんマイコ先輩と…」



あんなにも楽しそうにしている。
恐らくキスもしている。
それなのに、マイコ先輩はどこまで藤ヶ谷くんを傷つければ気がすむのかと宏光は苛立ってくる。



「先輩が中居先輩の気を引くために自分からガヤさんと付き合っているって言いふらしてるの。それはガヤさんしか知らない。ガヤさんもオレにしか言ってない」
「…そんなの許せない！！！なにそれ！？」



怒りを全面に出している宏光を初めて見て、宮田は少しビックリする。


「本当に許せないよね。俺もそう思う。」


宏光に怒りを抑えるようまぁまぁと手で仕草をした。
その仕草に少し冷静さを取り戻す。



ひどいよ…マイコ先輩…
藤ヶ谷くんの気持ちを知ってて
藤ヶ谷くん…辛くないかな…
でも私何かが心配しても何も変わらない

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