未来を変えろ！【後編】

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あの時止めなければ、私たちは会話をすることもなく一緒に勉強をすることもなく、手を繋ぐことも、缶ジュースを貰うことも、笑い合うこともなかった。



…そして、こんなにも好きが溢れることもきっと…なかった。見てるだけの時よりも、今のが比べられないぐらい、好きになっていた。



すべてが、私が無理矢理変えた未来。
未来は通常通りに戻るだけ。



藤ヶ谷くんは、マイコ先輩と付き合って…
私は、藤ヶ谷くん以上に好きになれる人に出逢うこともなく…きっと何となく違う人といつか結婚するんだろう。


藤ヶ谷くん以上に好きになれる人なんて、
もう絶対出逢えない。


それだけは、分かる。


そして裕太はきっと、違うママに出逢いきちんとアイドルになって生まれているだろう。
多分裕太って名前は変わらないけど、苗字は変わっているのかな。
大丈夫。
大丈夫。




ただ、戻るだけ。
変わらない未来に。




「藤ヶ谷くんは世界で一番素敵だから」



ゴメンね、裕太。


そう言って、藤ヶ谷くんの背中を思いきり押すと



藤ヶ谷くんは



「ありがとう」



そう微笑んで、笑顔で振り返ってマイコ先輩のところへ走って行った。



(嫌だ。嫌だ。本当は行かないでー…)


(行かないで…)




そんなことを思っても、無駄なのに。



涙で前が見えないや。



人に見られたくなくて、くるりと回って窓に顔を向けた。



涙が重力で落ちないように、すこしだけ顔を上げながら──…



泣いたりしない。
だって、藤ヶ谷くんは好きな人と結ばれるんだから。


幸せになるんだから───…




「…でも、もっと一緒にいたかったよ─…」




裕太と藤ヶ谷くんと3人で。




未来を変えたかった。

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