未来を変えろ！【後編】

56 ページ6

藤ヶ谷くんと…私が？
どっかに寄っていく？！
これって…！
裕太っっ！！すごいよ！すごい！！！


頭が混乱してしまう。


「なに、嫌なの？」
「えっ！！いや！いや、嫌な訳ない！」
「あはははっどっちだよ」
「テスト勉強付き合ってくれたらデートするって約束しただろ？」
「で、でも！まだ結果は出てないよ？」



藤ヶ谷くんの点数が平均以上だったら…っていうご褒美だったから。
だって、そんな予想外。
今日一緒にどこかにいけるなんて…！


藤ヶ谷くんはいつものバスケ部のメンバーで打ち上げでもするのかと思っていたし。
あっ、でも確かに二階堂くんは健ちゃんと帰っていったけど。


「ぜひ「たいすけー！」」



ぜひ、ご一緒させて下さいと宏光が言おうとした瞬間…被せるように甘い声が教室に響き渡った。
声の先には、教室のドアで手をパタパタさせている先輩がいて。
その可愛さと色気にまだクラスに残っていた男子生徒全員が注目し釘付けになり、魅了されていた。



「今日、お茶でもしよー！」



ドアの所で可愛く藤ヶ谷に叫んでいる。


マイコ先輩に呼ばれて、藤ヶ谷くんは切なそうにマイコ先輩を見ていた。
そんな藤ヶ谷くんを見ているとこっちまで胸が締め付けられるようで。
そんな顔をしないでほしい。



裕太…ごめんね。ごめんなさい。



でも、きっと裕太はいい子だから。
他のお母さんが見つかるよ。


本当は私が産んであげたい…一緒に幸せになって、裕太の成長を見てあげたかったけど。



でも、きっと裕太は大丈夫。



「…藤ヶ谷くん。大丈夫だよ。藤ヶ谷くんは中居先輩より私は素敵だと思ってるし、世界で一番だと思ってる。マイコ先輩もきっとそう思ってるよ」


「…北山.....？」


「行って？先輩のところに」


私が幸せにしたい
本当は。
だけど、そんな顔をもう見るのは辛いから。


背中を押してあげる。



「ちゃんとマイコ先輩に告白して。絶対大丈夫だから」



元はと言えば私があの時、止めてしまったから藤ヶ谷くんの未来を変えてしまった。
藤ヶ谷くんは先輩と付き合うはずだったのに。
私が止めて、変えてしまった。



自分のエゴで、
他の人が好きなのに、利用される藤ヶ谷くんが可哀想だと勝手に決めつけて、結局は自分のためだった。それは藤ヶ谷くんのためなんかじゃない。

57→←55

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す