未来を変えろ！【後編】

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腕を伸ばし、さっとそのノートを左手で掴むと、1ページだけ！と思って、ペラリと捲った。


そこには、オレが読んだことがある本の名前や見たことがある映画の名前…好きなアーティストの曲などが書かれていた。そして、有名どころのNBAの選手の名前も。


そして、その本の名前などを書いてある横に…
〇とあらすじが書いてあった。


まだ〇がついていないところは、何も書いていない。
しかも、ここに載ってることは…オレが何気なく話してることだった。


風呂上がりのLINEで、今──…っていう本読んでるよーっとか。最近──…って曲聴いてる、とか。
今日動画有料アプリで───っていうのを視聴したとか。何気なく、送っていたものだった。


それに、北山は「私も見てみるね」など返してきたことは、確かなかった。「私もそれ好きだよ」とか見たことがあるのは、そう返してくれて話で盛り上がったりしてるから余計に覚えてる。



何も言わずに、見てくれてるんだ…
きっと見てなかったものを、メモして知ろうとしてくれてるんだ…オレの好きなものを。



ああ、もう。
本当に愛しい…



悪いと思いながらもペラペラ捲っていくと、
まだ埋まってない真っ白な最後のページの端に



「藤ヶ谷くんと上手く話せますように」



と書いてあった。
何かのおまじないなのか…？


このノートはもう半分以上のページが埋まっていた。
全部は読まない。その想いを受け取れただけで幸せだ。



上手くなんて、話せなくてもいいのに。



完璧な北山が好きなわけじゃないのに。



ノートを元に戻した数分後、北山は戻ってきた。



「ごめんね、何度も…！」
「んーん？体調悪い？」
「全然…！ちょっと、緊張しちゃって！男の子とこうして二人きりでカフェ来たことないし！それに相手が藤ヶ谷くんなんて…！」
「…あれ？カフェ…行ってたじゃん。同い年ぐらいの男と」
「あ、え？、あ、あれは…」



すっげー楽しそうに話してたけど。
何か思い出したらムカついてきた。
あいつ、絶対北山のこと好きだし。
そういう瞳をしてた！


北山はオレにゾッコンだから、別にいいんだけど！
全く気持ちは疑ってないし！
ネタ帳見たばかりだし。


でも…



「そんなにはぐらかすってことは、そいつのことそんなに大事なの？」
「………え、あ、うん。すごく大切な人だけど…」
「なにそれ」



北山の心での「息子だし」という言葉は藤ヶ谷に届く訳もなく、藤ヶ谷の嫉妬心はメラメラ燃え上がっていた。

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