未来を変えろ！【後編】

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付き合うということは、失うかもしれないということ。いつ振られてもおかしくないということだ。
嫌われたくないという想いが強くなる。


幸せを知ってしまったから。
知らなかった電話番号やLINEのIDが自分のスマホにあること。
そのLINEのメッセージが、毎日藤ヶ谷くんのお風呂を出たタイミングで届いて、寝る前までやり取りが続くこと。
藤ヶ谷くんが今から本を読むとか、勉強をするとか報告してくれたら、自分も鏡のように同じ動作をしてしまっていること。


藤ヶ谷くんが自分の全てになっていくことが
この一ヶ月で幸せでもあり、怖くもあった。


だって、まだマイコ先輩は藤ヶ谷くんと部活で接してる訳だから、心配というか、不安にはなる。


やっぱり私はつまらなくて、マイコ先輩の方が良いって藤ヶ谷くんが思ったとしても、それは普通の条理で…何も責めることはできない事実だから。



ニカガヤが何か弱気。Wデートしない?一肌脱いであげよう!



そんなことを宏光が一人悶々と思いにふけていた前にいる健美のスマホにメッセージが届いた。
テーブルの上にあったスマホを健美が確認すると恋人の二階堂からのものだった。
その内容は、Wデートのお誘い。相変わらず、あまり主語がなく日本語が苦手な二階堂のことを健美は可愛いな、と愛しくなる。
健美のスマホカバーは、二階堂とお揃いのもので、小さく左下に互いのイニシャルが入っている。


(あんなにモテるのに藤ヶ谷くんも悩んでるんだ)


可愛いなあって思ってしまう。
ミツには正直、頭が上がらない。
あの日、何も言わずに背中を押してくれた。
何も聞かずに、察してくれた。
私の未来を変えてくれた。


ただ、見てるだけの恋だったのに。
叶えてくれたのは、ミツのおかげ。



健美もちろん!ラブラブ大作戦開始だね!今週の土曜日は部活?


ニカよっしー!土曜日は午前だけ!じゃあ決戦は、土曜午後で!OK?


健美OK!ニカ、大好きだよ♪


ニカ俺も大好き!



なーんて☆
バカップルみたいだけど、いいよね？
付き合いたての高校生なんてこんなもんなの！


なのに、ミツたちは…


「もし、遊びに行くなら何を話せばいいか…不安で、ネタ帳も作ってみたんだけど…」


そろーっと鞄から、小さなノートを見せてくる。
ネタ帳って！お笑い芸人かっ！


「ミツって何で藤ヶ谷くんを落とせたの？」


何気ない疑問だった。

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