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「千賀さん」
「…え、藤ヶ谷くん?」
「急にごめん、北山どこにいるか知らない?」
「え、あ!うん!ミツね!他のクラスの友だちと今日はお弁当食べるってどこかに行ったよ」
「どのクラスか分かる?」
「ごめん、分かんない」
探している時にいない。
いないと余計に言いたくなる。
何で焦ってるんだろう。北山の自分を想ってくれる気持ちに偽りなんてなくて。焦ることもないのに。
今日、一緒に帰ろうって言いたくて。
部活が今日も体育館の関係でないからって。
「ありがと。ちょっと探してみるわ」
そう言って、藤ヶ谷は健美たちに御礼を言うと、他の教室に向かった。ひとつひとつ教室を見ていく。
皆が皆昼休みを謳歌していた。
まだ昼食をとっている人、読者をしている人、スマホを操作している人、友だち同士で話している人。色々な光景が広がる。
ただ、その光景の中には北山はいなかった。
廊下から教室を覗いて細かく確認したけれど、いなかった。
(・・・あ、)
そんな時ふとひとつ思い浮かぶ。
初めて、北山ときちんと話した場所。
裏庭のベンチ。あの日も昼休みだった。
もしかしたらあそこは、彼女が良く行く場所かもしれない。そう思い藤ヶ谷は逸る気持ちを抑え、裏庭へと向かった。
***
「裕太、少し見ないうちに背伸びた?」
「そんな直ぐ伸びる訳ないじゃん」
「そうだよね…」
「なに、そんな寂しかった?」
「…寂しくはない」
「本当?」
「寂しい…ではない。不安になった。裕太が生まれてないことになってしまってたら、どうしようって」
「…ああ…ね、心配かけてごめん」
裕太が消えてしまったと想って怖かった。
自分から裕太を手放しておきながらやっぱり怖かった。でも、昨日裕太はまた出てきてくれた。
何で出てきてくれなかったかは、私も怖くて聞いていない。
裕太も何も言わなかった。
ただただ隣に裕太がいてくれることが嬉しくて。
裕太が笑ってくれることが嬉しくて。
(…謝るのは、私の方だよ。母親失格なこと思ってしまったから)
でも、もうそんなことは思わない。
藤ヶ谷くんも裕太も一緒にいたい。
欲張りになってもいいかな。
でも、今は裕太に甘えていたい。
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なっちゃん(プロフ) - 「転生したら…」から流れ着いて読みました!ももはさんの作品、全部好きです!うまくいえないのですが、登場人物に好感がもてます!特にこの「未来を変えろ」は、大好きな作品で、人生を前向きに生きていこうとすら思いました!こんな作品に出会わせてくださり感謝です (2020年7月28日 21時) (レス) id: 14913c4d63 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - はるみつさん» はるみつさん、一気読み頂きましてありがとうございますっ!控え目地味なKさんと人気者Fさん書いてて楽しかったので、そう言って頂き安心しました!MT作も御覧頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました!(/ω\) (2019年3月10日 10時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
はるみつ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最初から最後まで、一気読みしてしまいました(*^^*)このような、ちょっと控えめで一途な女の子と、完璧な男の子のお話、大好きです(>o<)!!とても楽しませていただきました!感謝です!次の宮玉メインも、楽しみにしています!! (2019年3月9日 21時) (レス) id: bca73f257b (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - ともみさん» ともみさーん!コメントありがとうございます!続きのお話もご覧頂きありがとうございます!普段読まないMTも読んでくださるなんて、すみません(><)FKも入れていきますので、ご覧頂けると嬉しいです! (2019年3月6日 18時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ(プロフ) - ももはさんお疲れ様です!続きのお話とても楽しく読ませて頂きました♪普段はMT読まないのですが、続きこちらもとても楽しみです! (2019年3月6日 13時) (レス) id: 5c37d93fa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももは | 作成日時:2019年2月25日 15時