【あんスタ】大きなサーカスの玉乗りピエロ (ページ21)

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68話　希望2 ページ21

「……うん。そうだね。」

私は紅郎からジャケットを受け取って、オレンジ色の星の飾りを縫い付けた。

それから4日。

「で……できたー！！」

急ピッチで作業を進めていき、放課後、少し暗くなったころにようやく4人分の衣装が完成した。
少し汗ばむ額を拭い、私はできた衣装4着をハンガーにかけた。

「ふー、お疲れ様、紅郎！」
「おう」

二人でハイタッチをする。
授業時間も休み時間も放課後も使って懸命に作った衣装だから、4人が気に入ってくれるといいな……

次の日、tricksterがライブをする日。
私はたまたま最悪なことに寝坊して、急いで登校した。

「せんせ！tricksterは？」
「もうとっくに行ったぞ。」

朝7時から会場へ向かうtricksterを横目に、私はぐっすりと眠っていたのだ。
急いで渉にミニ気球を借りて速攻会場へ向かう。

ド派手な登場はできるだけしたくなかったから、少し会場から離れたところに着地した。
主役はtricksterなんだから、お客さんにから目を奪うことはしちゃいけない。

すぐに気球から降りて私はtrickstarの楽屋に向かう。
「衣装がない！？寸前になってどうしてそんなことを！！」

楽屋の中からスタッフさんと思われる人の怒鳴り声が聞こえる。

「そ、それが、学院でいろいろとありまして……」
「言い訳は通用しないぞ！」

話を聞こうともしない、焦り気味のスタッフさん。

「この会場に来ているのはほとんどが君たちのファンや君たちを楽しみにしている人々ばかりだ。君たちがライブに出られないとなれば、どうなると思っている！」

怒り狂ったスタッフさんが思い切り扉を開けて出てきた。
「なんだ。あいつらと同じ制服を着ているな、どうせ応援しに来たとかだろう？悪いが、ライブは中止だ。衣装がないとなれば映えないのだから、意味はない。」

凄く自己中心的な人なんだろうな、今のスタッフさん……。

扉の向こうから心配そうな顔をした4人の顔が見える。
私を見たスバルがこっちに来て言った。

「……ごめん。Aまで巻き込んじゃって」
スバルが申し訳なさそうに俯いた。

「……衣装の、ことだよね。」
私はバッグから、オレンジ・青・ピンク・緑に輝く衣装を取り出して言った。

「私と、紅郎と、宗とつむぎで作ったんだ。前の用意されてた衣装には敵わないかもしれないけど……精一杯、作ったから」

私は4人に差し出した。
「す、凄いな……正直に言うと、以前のものよりもいい。この星飾りとか、綺麗だ」