【あんスタ】大きなサーカスの玉乗りピエロ (ページ3)

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49話　黒い羽根の悪巧みページ3

千秋side

あの日から2日が経った。

何か様子がおかしい。

時々沙弥の奴が話しかけてくるようになった。

主に沙弥自身の話や、Aの話だ。

「前髪をちょっぴり切った」だとか「最近少し太ってしまった」だとか

「Aのことをどう思う」とか「Aがこの間こんなことをしていた」など

何か様子を探っているような感じだ。

そんなある日の昼。

俺のクラスに沙弥が来た。

「失礼しま～す！えっとぉ、守沢千秋さんいますか～？？」
「ああ、俺だ」
「あ、いたいた！ちょっと来てください～お話したいことがあるんですよぅ」

クラスには、俺と羽風しかいなかった。

俺は言われた通り、沙弥についていった。

しかし、それが間違いだった。

誰もいない防音音楽室。
無駄に広々としていて、遮光カーテンが広がる。

軽音部室とはまた違い、嫌な雰囲気だ。

沙弥は中に入り、遮光カーテンをシャッと半分閉めた。
もう半分はレースカーテンを二重で閉めた。

そして、中央にずるずると小さめのテーブルとイスを引きずり出し、そこに自分のスマートフォンと、芳香剤のような、強い甘い香りのするものを置いた。

俺を手招きで中に入れという。
俺は恐る恐るテーブルに近づいた。

すると沙弥は先程まで俺がいた音楽室の入り口から出て、「未使用」の看板から「使用中」に変えた。

そして中に入り、内側からしっかりと鍵を閉めた。
勿論、２つの扉、どちらにも。

すると沙弥はイスの左側に座り、俺を右側に座らせた。

「…単刀直入にいいますよ？…千秋さん、Aちゃんのこと、どう思ってるんですか」
「いい奴だ」

３回目ぐらいだから、食い気味に答える。

「この写真を見せられても、ですか？」

沙弥はスマホをスクロールして、俺に見せた。
するとそこには、紛れもなく、俺とAが抱き合っている姿がそこにあった。

「！…これは…」
「何があったんですか？ハッキリ言ってくれません？」

沙弥はキリッとした目つきで俺の顔を見る。

「Aが悪夢を見たときに、俺がアドバイスをしたんだ。そうしたら「ありがとう」と抱きしめられた」

「…そうですかぁ」

沙弥はガタッと席を立ちあがり、少し周りを歩きながら言った。

「千秋さん、あなたは騙されてるんですよ」
「突然何を言い出すんだ」

「Aちゃんの本性を私は知っています。前、この傷の事件もAちゃん自らやったものですよ？」