【あんスタ】大きなサーカスの玉乗りピエロ (ページ20)

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67話　希望ページ20

さて……本当に重要なのはこの後。
サヤがどうにもできない状態にしてしまった布切れをまたもとに、むしろもとより綺麗に戻す作業が、これまた授業をサボらなければいけないほどに忙しいので。

「先生。私今日サボります」
「おー。いつも通りのことだろ、無言でサボってろ無言で。ただし留年になっても知らんからな」
「も～先生のいぢわる。今週だけですから、他はちゃんと授業でますよーっだ。」

私は今考えれば得意げになってちゃんと授業出ますって言う事じゃなかったなと改めて思う。
だって授業に出るのは普通な事じゃん。
むしろでなくちゃいけないじゃん。

まぁ、いっか。
それよりtricksterが大事だものね。

私が授業サボって作った衣装だよって言っても真君にはきっと信じてもらえないか。
まぁ他の3人とかは私が授業サボるの当たり前だから多分飽きれて何も言えないか心の底から感謝するかだよね多分。

「……さっ、手芸部GO」
手芸部に行くと、黙々と紅郎が作業をしていた。

「あっ、やっぱり紅郎もサボるんだ？」
「そらそうだろ。授業を受けてる時間も惜しんで作ってないととてもじゃないけど５日で直すなんて無理だ。」

呟きながら、星空の布に仮縫いをする紅郎。
私は既に仮縫いが終わった布にミシンをかけた。

「あ、そうだ、紅郎。昨日ね、小物屋さんでtricksterらしい飾りを手に入れたんだ。ほれ」
私はバッグから、オレンジ、緑、青、ピンクとそれぞれの色をした、星の飾りを並べた。

「ほう……こりゃ、よくできてるな。その店ハンドメイドじゃねぇのか？」
「うん。ハンドメイドだからこそ、ちょっといいやつだったもん。で、これを、ズボンにつけようかと」

「おう、いいんじゃねぇか。」
紅郎は笑って作業を続けた。

私もミシンで布を縫い、30分ほどしてようやく北斗のジャケットができた。

「ふぅ……強度もいい感じで、できた！」
今回のtricksterのライブは、七夕ライブ。理由は今月が7月だから。

まぁ七夕ライブといえど、衣装やステージが七夕らしいだけで、大したイベントとかはしないみたいだし……

その代わり衣装は細かく作った方がお客さんも見入る気がするから。
あ、これは元アイドルとしての言い分だけどね。

「…できるのかな、本当に」
「何言ってんだ嬢ちゃん。今更弱気になったって無駄だろ。俺たちがすることは、あと5日以内に衣装を作る事、それだけだ。」

紅郎はミシンをかけ終わったオレンジ色のジャケットを私に渡してきた。