第百話 ページ10
放送の音が風音と混じってフィールドに響く
それと同時にコンクリートの壁に身を隠し、どう動くかを考える
(登るのは無理そう…ですね)
高くそびえ立つ壁は登るには薄く、棘のついた蔦が絡みついている
正直この視界の悪さは銃を使う私にはとても不利だ
しかも壁に登れないと言うことは高所からの射撃も不可能
更には初めよりも心なしか強く吹く風
(これでは弾の軌道もズレやすくなってしまいます
それにもしこのままどんどん風速が上がったら…
…それって仕掛けの一つ、何でしょうか…)
やっぱり正面からの戦闘は避け、隠れながら出口を目指すのが一番なのかもしれない
そう思いなるべく音を立てないよう慎重に歩きながら周りに目を凝らす
静かに足を進めていると突然、何かが風を切る音がした
『っ！！、あっ、危なかった…』
咄嗟に後退り、さっきまで自分がいたところを見る
そこにはガラス質の刃物が三つほど地面に突き刺さっていた
(機械音は全くしなかったのに、一体どこから…？)
『…早く、ここから出ないと…』
仕掛けが完全にわからない以上、長居は危険です…
すぐ立ち上がり前へと進む
さっきの案内で出口までの距離感は掴めた
焦燥感に襲われながら軽く走りだす
忙しない足音も風になびく木々の音にかき消されている
(あと少し…っ！ありました…！)
コンクリートの壁を盾にしながら出口付近の壁へと近づく
中央はひらけていて視界も良い
(ここで見つかると厄介ですが…)
壁に身を隠しながら中央と出口付近に目を見張る
『誰も、いない…？』
そこには木の葉と花弁が揺らめいでいる音だけがあった
彼の気配は全くない
この空間にいるのは自分一人だけなのだと勘違いしてしまいそうなほどそこには何も無かった
不気味なほど何の気配もない
この異様な状況は不可解ではあるが、好機でもある
(これは戦闘を避けて勝つ絶好のチャンスです…！)
念のため足音を消して出口まで進む
頑丈そうな重々しい扉の前に立ち、リングをはめる場所を探す
(…あ、ありました！)
ずっとぎこちなく拍動していた心臓がようやく緊張から解放される
くぼみにリングをはめようとした
その瞬間
「だーれだ♡」
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るるぶ(プロフ) - まおさん» ご指摘ありがとうございます。気づくのが大変遅くなり申し訳ございませんm(._.)m (8月18日 23時) (
レス) id: 63f24df033 (このIDを非表示/違反報告)
まお - 百二十二話がないですよ (6月29日 17時) (レス) id: afad3f7130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るるぶ | 作成日時：2022年1月3日 0時
