第百十四話 ページ24
振り向くと同時に充満する大量の血の香りにむせそうになる
そこには晴れの争奪戦と似た光景が目の前に広がっていた
ただ明確に違うのは目の前の彼が完全に死んでいることだ
『うっ、あっ…ぁぁ』
《…リリムを戦闘不能とみなします
よって風のリング争奪戦は風間Aの勝利となります》
無機質で無慈悲な放送が流れる
ガチャリと出口のロックが外される音がした
けれど今の私にそんなことを気にかける余裕はなかった
人が死んだのだ
さっきまで生きていた人間が
(その引き金を引いたのは)
後ろから扉を開く音がした
「風間さん！大丈夫？！」
『ぁ…さ、わださっ…わた、し私…！』
「っ落ち着け風間！顔が真っ青だぞ！！」
発砲音が聞こえたからかすぐに皆さんが駆けつけてくれる
混乱する私の背中を笹川さんがさすった
「ひっでーな…負けちまったら問答無用で殺すなんて…」
「あぁ…」
『ちがっ、違う、わたしが…私が殺したんです…！
私が、争奪戦に勝ってしまったから…、私が…！！』
そうだ
私が勝ってしまったことが彼の死の引き金を引いてしまったんだ
罪悪感で胸がいっぱいになってぼたぼたと涙をこぼす
「…落ち着いてください風間殿、決してあなたのせいではありません」
『でっ、でも…うっ』
(…血の匂いが気持ち悪い…っ、それだけじゃない…)
目を瞑って脳裏に過ぎるのは赤黒い血の上に横たわる彼
『うっ…あぁ…』
「…風間、俺の声が聞こえるか」
突然、小さな手のひらが涙で濡れた私の頬に触れる
黒く大きな瞳を見つめながら、頷いた
「よく聞け、風間
リリムが殺されたのはお前のせいじゃない
風間が勝っても負けてもあいつが死ぬことは決まってたんだ」
『っ、ぇ？』
「リボーン、その話は…！」
ディーノさんが声をあげる
「目の前で見ちまったんだ
…これ以上隠す理由もねーだろ」
「っ、それもそうだが…」
『な、何です…いったい何の話を…』
「どけ」
動揺の中、低く威圧に満ちた声が頭上からする
「XANXAS…」
「それを回収しにきただけだ」
"それ"というのはリリムさんのことだろう
大きなロボットが彼を横抱きにする
切り裂かれた彼の背中から大量の血が流れ落ちる
「それでは次の対戦カードの発表をします」
「！」
『…』
(こんな、状況でもやるんですね…)
「明晩の勝負は…雨の守護者の勝負です」
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るるぶ(プロフ) - まおさん» ご指摘ありがとうございます。気づくのが大変遅くなり申し訳ございませんm(._.)m (8月18日 23時) (
レス) id: 63f24df033 (このIDを非表示/違反報告)
まお - 百二十二話がないですよ (6月29日 17時) (レス) id: afad3f7130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るるぶ | 作成日時：2022年1月3日 0時
