第百一話 ページ11
『？！』
甘い、猫撫で声が私の耳をくすぐった
驚きで体が固まる
(い、いつの間に…？！さっきまで気配も何もなかったはず！！)
とっさに離れようとするが、瞬時にそれが不可能だと頭が理解する
「あっ、ちょっとでも動くと切るからね」
首に突きつけられた短剣が少しだけ揺れる
喉を上下させただけで切れてしまいそうなほど近い
(ど、どどうすれば！銃は、ホルスターにありますけど…
少しでも動けばきっと…)
動いてしまった後が容易に想像できる
この状況、どうやって切り抜ければ
「…そんなに怯えなくても、殺したりしないよ
ボクはAちゃんとお話ししたいだけ」
『は、なし？…、…？！』
両肩を掴まれたと思いきや、くるりと私の体を回転させ彼の体と対面させた
「そう、簡単なお喋りだよ」
『っ！ちっ、ちかぃ…！！』
「ふふ、顔近づけられるの苦手？耳まで真っ赤だよ」
「かーわい」という台詞と共に耳元で息を吹きかけられる
『ひっ！？！？』
(え？！え、ぁ、いい今戦っているんですよね、私！
何、顔赤くしてるんですか！！！！
彼もなんで急に口説きに来たんですか？！)
「困惑する顔もかわいーね、ずっと見てたいけど本題に入ろう
単刀直入に言うね、Aちゃん
この戦い、降参しない？」
『ぁ…えっ、…な、何言って』
突然の訳のわからない提案にオーバーヒート寸前の頭が更に混乱する
リリムさんは私から少し顔を離して困ったような笑みを向けた
「…本当はボク、こんな可愛くて純粋無垢な女の子殺したくないんだよねー…、それに…」
そして再び顔を近づける
さっきよりもいっそう近く、少し動けば唇が触れてしまいそうな距離まで
彼の吐息が私の口を優しく撫でた
「こっちにくればボクがキミのこと目一杯甘やかしてあげるよ」
『ぁ、ぇと…や、あの…っ』
思わず腰が抜けそうになるも何とか耐える
そんな状態の私にもお構いなしで彼は私に強請るような甘い笑みで近づいてくる
逃さないと言わんばかりに壁へと押しやられた
(だ、だめです…あ、頭がクラクラしてきました…！！
だって、だって人生でこんな美少年に口説かれたことなんてないですもん！！)
恋人はおろか好きな人だっていた事ない私を動揺させるには彼の行動は十分なものだった
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るるぶ(プロフ) - まおさん» ご指摘ありがとうございます。気づくのが大変遅くなり申し訳ございませんm(._.)m (8月18日 23時) (
レス) id: 63f24df033 (このIDを非表示/違反報告)
まお - 百二十二話がないですよ (6月29日 17時) (レス) id: afad3f7130 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るるぶ | 作成日時：2022年1月3日 0時
