第１９８話 ページ9
若干、気まずい空気の中
なるべく急いで沢田さんのいる校庭へと二人で向かう
その道中
『ああっ！！』
「ちょっと、急に立ち止まらないでよ」
『ご、ごめんなさい…あ、あのっこれ…！』
モニターを見るよう雲雀さんに促す
小さな画面に映るのは大空以外のリングを手にしたマーモンさん
奪われてしまったんだ…全て…
まさに形勢逆転
私が恐れていた、そしてどこか予感していた出来事だ
《なぜ風以外のリングを半分ずつ保管するのか
そしてボンゴレの正統後継者にしか授与されないのか…
知っているかい？》
浮遊しながら、余裕そうな口ぶりで語り出す
《それはリング自身にも秘められた力があるからさ》
秘められた力、その言葉に首をかしげる
象徴であること以外は単なるアクセサリーに過ぎないと思っていたが、どうやらそうでないらしい
マーモンさん曰く、以前XANXUSさんが九代目によって氷付けにされたとき
それを溶かしたのはこの七つのリングだそうだ
ということは…今の彼にもそれが適応されることになる
──つまり、XANXUSさんが眠りから覚めてしまう
それに気がついたとき、私は雲雀さんを連れて歩き出していた
負担がかけないために走ることはできなかったが
それでも校庭には近づいてきた
リストバンドに目をやりながら急ぐ
《思った通りだ》
風以外のリングに炎が灯る
それは沢田さんが額から出すものと似ていた
そして、その炎は零地点突破による氷を溶かしていく
《効果はこれだけではないよ
七つの完全なるボンゴレリングが継承されるとき
リングは大いなる力を新たなるブラッド・オブ・ボンゴレに授けると言われている》
どさりという音をから氷が完全に溶かされたことを理解する
歓喜と期待に満ちた声
そして
《リングを、よこせ…》
か細いけれど威圧感のある声が、リストバンドと目の前の両者から聞こえ重なり合う
七つのリングがチェーンへに嵌めれる
XANXUSさんの痣だらけの手には大空のリングが
その途端、リングから光が溢れ出す
夜の暗闇を照らしていくそれに、なんとも言えない恐ろしさを感じた
「力だ！とめどなく力があふれやがる！！
これがボンゴレ後継者の証！
ついに…ついに叶ったぞ！！」
狂気的な笑顔で喜びに浸るXANXUSさん
その光景を見て絶望を感じる
間に合わなかった
しかし、負けを確信したその瞬間
何かが、私に告げる
『違う』と──
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作者名：るるぶ | 作成日時：2024年4月16日 23時
