【REBORN】寡黙少女の奮闘記5 (ページ4)

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第１９４話ページ4

(あ、危なかったー！！！)

もう少し反応が遅れていたら怪我では済まなかったです…！！

トンファーから手を離し、その場にへたり込む

ばくばく騒がしい心臓を落ち着かせようと何度も撫でつけた

「君、こんな所に何しに来たの」

頭上からした声に顔を上げる

傷だらけの雲雀さんを見てはっと我に帰った

『ぁ、えと…雲雀さんの手当を、と思いまして…』

「…」

無言でじっと見下ろされる

目が合っているのが気まずくて顔を背けた

暫し経った後

彼は私の隣に腰掛けた

『…え？』

「何その反応

このために来たんだろ、やるなら早くしなよ」

『あっ…そ、そうですね、はい…』

(意外でした…もっと、こう…一悶着あると思ってたのに)

やけに素直です

何か…逆に怪しい…

この人本当に雲雀さんですか？

実は幻覚とか…

「何」

『ぇ…あ、いえ…その…

い、意外と、簡単に治療を受けてくれるんだなと…

な、何でですか…？』

「…面倒だから」

『えっ』

ばっさりと言い切られた予想外の答えにたじろぐ

「君は怪我人を前にすると人が変わったように口うるさく手当てしろ、安静にしろって言うし

殴っても黙りそうにないから従ってあげてるだけだよ」

『あっ、ぇ…そ、そうなんですか？』

「まさか自覚ないの？」

『す、すいません…』

私の反射的な謝罪に雲雀さんはため息をつく

「…答えが聞けて満足したならさっさと始めて」

『は、はい…』

雲雀さんの言葉に何となく不満を感じながら彼の腕に触れた

裂けたシャツを少しめくる

想像以上に酷い状態に思わず顔を顰めた

おそらく戦闘があったのだろう

全身に刃物による深い切り傷ができていた

ポシェットから包帯やガーゼを出して止血をしていく

外とリストバンドから聞こえる戦闘音を背景に黙々と手当を進める

(あ、顔の傷もやりませんと…)

視線を腕から顔の方へと移す

黒く鋭い両眼と再び目が合った

心臓がどきどきと大きな音を立て始める

『ぉ、あっ、頬の傷にもしょっ消毒、しますね！』

「…好きにすれば」

あからさまに視線を斜め上に逸らしながら必要のない報告をする

端正な顔立ちと夕べの記憶のせいで体の体温が急激に上昇してきた

さっきまでの多少の不満も、恐怖も全部吹き飛んでいく

大空戦とは全く別の理由で緊張してしまう