第１７６話 ページ34
あの後、ディーノさんに促されるまま思い出話をしていたら思っていたより話が弾んでしまい
家に着く頃にはもう午前0時をまわっていた
彼にお礼と謝罪を伝え、家の中に入る
寝る準備をすまそうと思い、まずお風呂場へと向かった
家政婦さんが沸かしてくれたのだろう、浴槽に張られた湯を見て服を脱ぐ
お湯に浸かると、激動の一日を過ごして疲弊した体がほぐれていくのがわかった
『…』
白く立ち込める湯気を見ながら今日起きたことを反芻する
ほとんど無意識に、蒸気によって湿った自分の唇に手を当てた
『…はあ〜〜〜っ…！！』
バシャンっと音を立てて乳白色のお湯に顔をつける
水圧で少し顔が痛んだ
(ちょっとでも油断したら、思い出してしまう…)
押しつけるように重なった唇とか
後頭部に感じた固い床のものとは対照的な柔らかい感触とか
ほとんどゼロ距離で見た雲雀さんの顔とか
…あのときの雲雀さん、確か…
『って思い出そうとしちゃダメなんですよ！！！！』
水飛沫と反響した自分の声がお風呂場に響く
顔を上げるだけではとどまることができず、思わず立ち上がってしまった
『…ふー』
深呼吸をして心を落ち着かせる
波のように揺れる湯船に再び身を沈めた
(…よろけてキス、だなんてどこぞの少女漫画ですか…)
普通、小説とか漫画ならばこのまま恋愛に発展していく流れになるし
現実で起きても多少は互いのことを意識する関係になりますが…
しかし相手はあの雲雀さん
そんな展開になる可能性は皆無です
何も始まりはしませんよ
せいぜいあっても「責任とりなよ(物理で)」と言われて咬み殺されるエンドしか見えません
浴槽に寄りかかりながら、ずるずるとお湯に体を沈めていく
顔の半分まで湯に浸けて口をすぼめてぶくぶくと泡を吹き出した
『はあ…今夜は眠れる気がしません…』
明日の晩は大空戦だと言うのに…
寝不足の腑抜けた状態で行ったら獄寺さんに殴られます…絶対…
でもどうしろと…
やっぱり忘れるしかないのでしょうか…
でも、それは…何だかもったいないような気が…
(…頭痛くなってきました)
シャワーのハンドルをひねる
冷水で顔を濡らし、火照った頬や額を覚ました
顔が熱くなっていたのは長湯でのぼせたせいなのか
それともさっきの出来事を思い出したせいなのか
はたまたその両方なのか
それについては考えないことにした
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るるぶ(プロフ) - yuiさん» yuiさんコメントありがとうございます！励みになります！！更新は不定期な上に超遅くて申し訳ないのですが、待っていただけると嬉しいです。これからも本作品をよろしくお願いします＾＾ (3月25日 12時) (
レス) id: 63f24df033 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - おもしろい！続きが気になる！ (3月25日 2時) (レス) @page37 id: a5bc97457e (このIDを非表示/違反報告)
るるぶ(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます！！稚拙な文章ですが楽しんで頂けて何よりです！これからもちまちまたらたら更新で申し訳ないのですが、気長に待っていただけると幸いです＾＾ (2月25日 1時) (レス) id: 63f24df033 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きが気になります！ (2月15日 13時) (レス) id: e62345f358 (このIDを非表示/違反報告)
るるぶ(プロフ) - 優波さん» うおおお！！優波さん嬉しいコメントありがとうございます！今月はテスト期間でめちゃくちゃ忙しいので更新は来月になってしまいますが、気長に待ってくれると幸いです〜！！ (1月14日 12時) (レス) id: 63f24df033 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るるぶ | 作成日時：2023年3月24日 18時
