第１７３話 ページ31
「おーい、Aー」
『…ディーノさ、ん？！』
名前を呼んだと同時に、ディーノさんはすごい勢いで転んだ
そして器用なのかそうでないのか、そのまま前転しながら私の目の前に転がって来た
あまりの光景に荒ぶっていた頭も冷静になる
『だ、大丈夫ですか…？』
「あ、あぁ平気だ…」
笑いながらディーノさんはよろよろと立ち上がった
傷だらけなのに笑顔は変わらずカッコいいです
「どうしたんだ？あんなところでうずくまって」
上着についた土埃を払いながら突然、私の方を見てそう言った
『えっ？！ぁー…それは、その…』
痛いところを突かれた私は冷や汗をダラダラとたらす
(い、い言えません…雲雀さんと事故とはいえキスしてしまったなんて…！！)
いくら親しみやすいディーノさんといえど！！！
『な、なんでもないんです…ちょっと…きっ気分が悪くて！で、でもっもう大丈夫です！！』
「お、おぉ…そんな大きな声が出るなら心配ねーか…」
『は、はい！…あ、ディーノさんこそ何か私に用がありましたか？』
「ん？いやただ見かけたから声かけただけだ
もう夜遅いしな、家まで送ろうと思ってさ」
『へっ？！』
素っ頓狂な声が出た
いや、まあ彼のようなイケメンにこんなこと言われたら誰でもこうなります
雲雀さんが言うのとは大違いですね…
『で、でもご迷惑じゃ…』
「いーっていーって、ほら行くぞ」
ディーノさんはそう言って先に歩き出す
『え、あ…ディーノさん！そ、そっち逆です！！』
「あ、間違えた…こっちだったな」
『は、はい…』
(来た道なのにもう忘れてしまったんでしょうか…)
途端に彼一人ここに残して大丈夫なのかという気持ちになる
とりあえず送ってもらうことにしよう
ロマーリオさんが以前、ディーノさんのことを「おっちょこちょい」と言っていた意味がちょっとわかる気がします
そんな事を考えながら横目で彼のことを見る
西洋人特有の目鼻立ちのはっきりした綺麗な顔は、やっぱりそういうイメージとは結びつかない
その噛み合わなさがおかしくて少し笑ってしまう
「なあ、A」
『は、はいっ？！』
突然声をかけられて声が裏返った
笑っていた理由が理由なだけに通常の倍びっくりした
「いや、さ…」
『？ど、どうしました…？』
歯切れが悪そうに言葉を悩ますディーノさん
そして深刻そうな表情で私に問いかけた
「…学校、楽しいか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るるぶ(プロフ) - yuiさん» yuiさんコメントありがとうございます！励みになります！！更新は不定期な上に超遅くて申し訳ないのですが、待っていただけると嬉しいです。これからも本作品をよろしくお願いします＾＾ (3月25日 12時) (
レス) id: 63f24df033 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - おもしろい！続きが気になる！ (3月25日 2時) (レス) @page37 id: a5bc97457e (このIDを非表示/違反報告)
るるぶ(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます！！稚拙な文章ですが楽しんで頂けて何よりです！これからもちまちまたらたら更新で申し訳ないのですが、気長に待っていただけると幸いです＾＾ (2月25日 1時) (レス) id: 63f24df033 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きが気になります！ (2月15日 13時) (レス) id: e62345f358 (このIDを非表示/違反報告)
るるぶ(プロフ) - 優波さん» うおおお！！優波さん嬉しいコメントありがとうございます！今月はテスト期間でめちゃくちゃ忙しいので更新は来月になってしまいますが、気長に待ってくれると幸いです〜！！ (1月14日 12時) (レス) id: 63f24df033 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るるぶ | 作成日時：2023年3月24日 18時
