5. (past) ページ6
・
その日から世界から
色が無くなったように、
ただひたすら働いて働いて。
勉強もおろそかになるほど
バイトに明け暮れた。
家に入れるお金の倍稼がないといけない。
自分の服のお金やその他生活費を
極限まで削ってどうにか
生計を立てていた。
｢A、ちゃんと寝てるの？｣
夜ギリギリまでバイトして
そこから予習して眠る。
正直言うと限界寸前の生活を
過ごしていた。
｢大丈夫。今月テスト前だから
ちょっとバイト代減るかも｣
｢そんなの気にしなくていいから。
ねえ、何か大変なことに巻き込まれてない？｣
母の歪んだ顔を見つめる。
私、間違ったことしてるのかな？
お母さんを苦しめてるだけなのかな？
どうしてこうなったんだろう...。
あ、そうだ...
中学校3年生の冬。
高校受験、合否発表の日。
県内でも名の知れた
公立進学校を受験した私。
結果は不合格。
あの日の親の絶望した瞳は
今も忘れられない。
結局、担任に勧められて受けていた
有名私立校に引っかかり、
そこに通うことになった。
あの時から壊れたんだ。
心を閉ざして、苦しくても辛くても
ただ耐えるしかなかった。
｢何も無いよ。
ただちょっと勉強についていくの
大変かなって｣
口角を上げて笑ってみせる。
偽りの笑顔でも母が
安心したように息を吐いた。
今もずっと15歳の私のままだ。
本当はもっと笑いたいのに、
素直になりたいのに、
嘘を塗り固めて
自分を守って生きている。
厚い化粧で本当の顔を隠して
上手く世の中を立ち回る術を身につけて。
でもそうしないともう
生きていけないんだ。
こんな私を救ってくれる人。
うっすらぼやける記憶の中に
あなたの姿が輝いていた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろみ(プロフ) - 続き楽しみに待っています！ (2019年11月9日 17時) (
レス) id: 868825202b (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - ナナしさん» 嬉しいです(><)亀更新ですがこれからもよろしくお願いします( ..)" (2019年1月3日 23時) (レス) id: 1d4723c537 (このIDを非表示/違反報告)
ナナし - 続きが待ち遠しいです☆★ (2019年1月3日 9時) (レス) id: ee15053760 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そら | 作成日時：2018年11月23日 16時
