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「え、え、ちょっと待って」
彼女は耳まで真っ赤だった。
俺は話についていけずに
頭の中はパニックだったものの、
彼女の話を聞き続ける。
「北山さんが2週間、私が
バーに来なかった理由を
深追いしなかったのをいいことに
それに甘えて本当のこと、
言わなかったんです。
でも、もうこれ以上は嘘も
隠し通せません...。
...。あの、私...」
「...。え...?」
彼女からの告白は聞けなかった。
カラカラに乾いた喉から
出た声はひっくり返った。
手が震えている。
頭の中であの時の言葉が
反芻される。
『...。消えた、とか』
確かに握っていた彼女の腕が
俺の手から消えた。
彼女もいなくなってしまった。
姿形、辺りを見回しても
どこにもいない。
俺の手のひらには彼女が
ここにいたという、証拠の
温もりがあるのに。
記憶と気配だけを残して
彼女だけがいなくなってしまった。
どうやって帰ったか、わからない。
気づいたら家にいた。
まだ心臓は暴れ続けている。
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作者名:そら | 作成日時:2017年9月3日 15時