3. ページ3
・
俺の声にゆっくりと顔を上げた彼女は
表情一つ変えずにうなづいた。
そしてすぐグラスに目線を
落としてしまう。
「あれ、北山さんは
気づかれてなかったんですね。
彼女、いつも北山さんと
入れ替わりでここにいるんです。」
マスターがいう。
ちらりと隣を見ると、
綺麗に巻かれている髪を
耳にかけている彼女。
「そうなんですね。
じゃあ今日はたまたま時間が重なったんだ」
偶然の出来事に嬉しくなった。
「同じのお願いします」
「はい」
彼女は空になったグラスをカウンターに出す。
思わず彼女の方を見てしまう。
あまりにじっと見つめていたのか、
彼女は俺を見て首をかしげた。
「あ、いえ。
あのそれ強くないですか?」
戻されたグラスに
何の迷いもなく口をつける彼女。
「…。そんなに」
「酒強いんですね」
「まぁ」
彼女は口下手なのか、
人見知りなのか、はたまた
俺と会話したくないのか、
質問に一言でしか返してくれない。
でも、それでも良かった。
彼女の声が聞きたかった。
201人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そら | 作成日時:2017年9月3日 15時