最終話 ページ21
千寿郎side
父上から、兄上である煉獄杏寿郎の訃報を聞いた。
鬼のいない世界と引き換えに兄上を失ってしまった。
兄上の大きくて暖かな温もりも、あの快活な元気な声も全て感じることはもうできない。
俺は、父上と共に小さな子供のように泣きわめいた。
いつまでもいつまでも泣いた…もしかするとひょっこりと表れまたあの暖かい大きな手のひらで慰めてくれるのでは無いかと淡い期待を抱いて。
それからしばらくして、兄が入っていると思われる棺と共にお館様が煉獄邸へといらっしゃった。
棺を見た瞬間俺は、微かな違和感を覚える。
人1人入っている割には棺が大きすぎるのだ。
気にせずにはいられず父上とお館様に聞いてみたところ「実際に開けてみなさい。」といわれたので俺は、迷いもなく棺を開ける。
すると、とても安らかなまるで眠っているような表情をして亡くなっている兄上と共に、兄上から包み込まれるようにして抱きしめられているとても綺麗な女性が眠っていた。
父上の話によるといつも兄上から、話を聞かされていた恋人のAさんらしい。
Aさんの話をする時の兄上は、とても幸せそうで、愛おしいものを見るような表情をしていた。
口を開けばAさんのことばかり話し、何日も帰らないこともあった…きっとAさんのところに行っていたのだろう。
俺は、兄上にあんな表情をさせてしまうAさんに嫉妬していた。
俺には少なくともそんな表情はさせることが出来ない。
しかし、俺は再び泣いていた…あまりにもAさんが優しい顔をしていたから。
ごめんなさい。俺はあなたのことを少し勘違いしていたようです。
父上は、再び泣いている俺の背中を撫でてくださった…泣き止むまで。
その夜、俺は既に何十年も前に亡くなった母上にこんな願いを込める。
“来世では兄上とAさんを幸せにしてください”
そう願った後、遠くで兄上と姉上の「ありがとう」という声が聞こえた気がした。
おわり
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みるく(プロフ) - 華さん» ありがたいお言葉をいただき本当に嬉しいです。最近は忙しくてなかなか更新できていませんが出来るだけ早く更新できるように頑張ります！ (2021年10月23日 18時) (
レス) id: 14f43f79f7 (このIDを非表示/違反報告)
華 - いつも更新楽しみにしています！本当にこの作品が好きです。これからもがんばってください。応援しています！ (2021年10月23日 18時) (レス) id: 95cefb630e (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 桃んさん» ありがとうございます！ (2021年9月6日 9時) (レス) id: 6c726376e6 (このIDを非表示/違反報告)
桃ん - 続編おめでとうございます！！！！！！ (2021年9月6日 9時) (レス) id: 7c2939c0a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるく | 作成日時：2021年9月5日 14時
