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百七話 ページ20

煉獄side


煉「…っ…」



目を覚ました俺は、Aのいる場所へと行こうと最期の力を振り絞り立ち上がる。



もう身体の感覚が無い…痛みを感じることが出来ない…息をするのが苦しい。



全てが俺の死期が近いことを語っているようだった。


本当ならば今すぐにでも座り込み、この苦しさから開放されたい…と思っていた。


でも、せめて最期は大事な人と愛してやまないAのそばで息絶えたかった。


やっとの思いでAの元に辿り着いた俺はAを力いっぱい抱きしめる。


煉「A…A……守れなくてすまなかった…A…」



そううわ言のように何度も何度もつぶやきながら既に冷たくなったAの亡骸を見て涙を流す。



煉「………君を妻に迎えて、子どもが欲しかった…君と共に歳をとりたかった。君と色んな場所に行きたかった…思い出せば君とすごした楽しい思い出ばかり蘇ってくるんだ…A..」




初めて自分の全てをかけてでも守りたいと思った。



初めて本気で好きになった女性だった。



Aに告白をしその想いが実った時俺は、飛び上がるほど嬉しくて数日間まともに寝ることが出来なかった。





嫉妬深い俺を見て嫌がる素振りすらも見せず、むしろ優しく包み込んでくれるところが好きだ。




俺を見る時のあの優しい眼差しが好きだ。



ころころと可愛らしく笑う君が好きだ。



どんな人も見捨てず心暖かく手を差し伸べる君が好きだ。


煉「本当に…どうしようもなく好きなんだっ…A! 」




君に死んで欲しくなかった。



君にもう一度だけ名前を呼んで欲しかった。



溢れ出した涙は止まらずAの頬に水が滴り落ちる。




有『…き…………』



彼女の口がかすかに動いた。



有『…き…きょ…う…じゅ…ろ…わ…わたし…も…好き…よ……』



奇跡だ…こんなことが有り得るのだろうか…。


また君が…俺を…俺の名前を!



有『…わた…しを…ひとりに……し…な…いで…寂しい…1人で…死ぬ…のは寂し……い』



煉「ああ…安心してくれ…君を1人で死なせたりはしないよ…」



そう言うとAは、安心したように微笑んだ。



そして静かに目を閉じる。


煉「おやすみA。」


そう呟いた後俺は、急な眠気に襲われゆっくりとゆっくりと目を閉じながらこの世界に別れを告げた。





次で最終回です!すみません!

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みるく(プロフ) - 華さん» ありがたいお言葉をいただき本当に嬉しいです。最近は忙しくてなかなか更新できていませんが出来るだけ早く更新できるように頑張ります! (2021年10月23日 18時) (レス) id: 14f43f79f7 (このIDを非表示/違反報告)
- いつも更新楽しみにしています!本当にこの作品が好きです。これからもがんばってください。応援しています! (2021年10月23日 18時) (レス) id: 95cefb630e (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 桃んさん» ありがとうございます! (2021年9月6日 9時) (レス) id: 6c726376e6 (このIDを非表示/違反報告)
桃ん - 続編おめでとうございます!!!!!! (2021年9月6日 9時) (レス) id: 7c2939c0a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるく | 作成日時:2021年9月5日 14時

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