一瞬の永遠を、きみと (ページ9)

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ただ全身が死ぬほど痛かった。

本当に死ぬなら構わないけれど、死にはしない程度の死ぬほどの痛みなんてお呼びじゃない。

『うう、痛ったあ……！』

「おい大丈夫か？」

うめき声を上げているとさっきまでより随分近くから声がした。

強打した背中を押さえながらまぶたを開けると、わたしを心配そうに覗き込む顔が見えた。

「ありがとうな、助かった」

くしゃりと無邪気に笑う彼から伸ばされた手を、わたしは体中の痛みに悶えながら掴んだ。

蒸し暑い空気とは対照的に、驚くほど冷たい手だった。

『ありが……』

とう、と続けようとして、気づいた。

そんなことを言っている場合じゃない。

そもそも原因はすべてこいつだ。

「どうかしたか？」

まるで悪気がないようにこてんと首を傾げる姿に腹が立つというよりはすっかり呆れた。

どうかしたか、なんて、どうかしたに決まってる。

だって今こいつ、わざと、わたしに向かって落ちてきたんだ。

『……ありえない』

まず人の上に落ちてくることがおかしい。

百歩譲ってあったとしても逆だ。

男の子のが力が強いんだからそっちが受け止めるほうじゃないのか。

なんでわたしが心の準備すらできないまま見ず知らずの男の下敷きにならなきゃいけないんだ！

「だって、ハシゴを使うのは面倒だし、だからってコンクリートに飛び降りたら、きっとおれ大けがする」

　
今ならこいつを殴り倒しても許される気がするんだけどどうだろう。