一瞬の永遠を、きみと (ページ20)

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＊ページ20

わたしなんて、いなくたって、きっときみは困らないのに。

　
本当に困ったような顔をして、何をそんなに、必死になっているんだろう。

『変なの』

思わず呟くと、大我が

「何が？」

と首を傾げる。

『何がって、きみのことしかないでしょ。きみすごく変だよ』

「おれが？何か変なことした？」

『うん。ずっとしてる』

「嘘だろ、どこがだよ。言ってくれ、直すから」

あまりにも大我が不安気だから、わたしはたまらず噴き出した。

お腹を抱えるわたしに大我は驚いて、それから逆におかしなものを見るような目で見てきたけれど、無視した。

『いいよ、直さなくて。おもしろいから』

ひとしきり笑ったあとで答えた。

それから

『大我』

と名前を呼ぶ。

息を吐いた。

馬鹿だなって、それは十分わかってる。

だけどもうわたしは死んだのだ。

そう思えば、地面に留まる最後のときくらい馬鹿に付き合うのも悪くはない。

そう、わたしは本当ならさっき死んでいた。

今は、きみが与えたおまけの時間だ。

きみのせいで今わたしがここにいるのなら、仕方がないからこの手は離さないでいよう。

きみの望みが叶うときまで。

きみがこの冷たい手を、離すときまで。

『行こう、海へ』

わたしはきみと一緒に、無謀な旅を。