〇智 ページ2
・
ソファでテレビを見ながらぼーっと過ごす。
絵を描く気にもならず、ただじっと時間が経つのを待つ。
智「お…」
カーテンから朝日が差し込む。
明るい外を見てちょっとほっとする。
智「凝った朝食でも作るか…」
そう思い、台所へ。
材料を見て作る物を決めて…。
包丁を取り出して、野菜を切ろうとした瞬間…。
智「っ…！」
手が、震えた。
急いで包丁を置いてしゃがみこむ。
智「怖、い…」
そうか、今の俺は包丁までも怖いのか。
智「ふぅー…」
落ち着け、落ち着け…と言い聞かせる。
それだけ悪夢がストレスになってるのか…。
くそ…中々手の震えが治まらない。
翔「…智にぃ？大丈夫？」
智「…っ！」
起きてきた翔が心配そうに近づいてきてくれて。
翔「なに…手、震えるの？」
智「ぁ…」
翔「ここ、引っ掻いたの？赤くなってる…」
翔がそっと俺の手をさすってくれる。
どうやら震えを抑えようと無意識に腕を引っ掻いていたらしい。
智「…」
翔「とにかく、落ち着こう。智にぃ」
何も答えらず、ただ翔が腕を擦ってくれるのを見ていた。
・
翔side
・
目の前の智にぃは呼吸も浅いし、
瞳もきょろきょろと落ち着かない…。
何より、震えが中々治まらない。
何だか、潤がパニックになる前の症状に似ている。
全然状況は分からないけど、とにかく落ち着かせなきゃ。
翔「大丈夫だよ、智にぃ…」
しばらく背中や腕を擦っていると智にぃの焦点が合ってきた。
智「ごめ、ん…」
呼吸も普通になり、震えも大分治まってきて。
翔「よかった…何か飲もっか」
智「…潤が、いなくなる夢見て…」
翔「…」
手で顔を隠しながら、ぽつりと話し出す智にぃ。
俺は飲み物の準備をやめて隣に座る。
智「毎日、毎日…潤が、いなくなるあの日の夢。
夢ってわかるのに、起きて不安になる。
あの日ほんとは…間に合わなかったんだっけ…て」
翔「…」
智「…お父さんが、言うんだよ。
潤がいなくなるぞっ…て。怖くて、目が覚める。
今、俺…包丁持っただけで震えてきて…」
翔「そっか…」
智「情けなくて嫌になる…たかが夢、なのに…」
翔「情けなくなんかないよ、智にぃ。怖くて当たり前…」
・
――解放されることのない"お父さん"という鎖。
それは潤も、俺たちも、同じで。
心から完全に消す事なんて、出来なくて当たり前だ。
・
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みゅうな(プロフ) - ちぷさん» お読みいただきありがとうございます。そうですね…たくさんあるお話の中の彼らと一緒に現実で揃う日を一緒に楽しみに待ちましょう。ゆっくり楽しみながら更新致しますので、楽しんでいただければ幸いです！ (2021年5月19日 23時) (
レス) id: 984ee72405 (このIDを非表示/違反報告)
みゅうな(プロフ) - RedButterflyさん» お読みいただきありがとうございます。楽しんでいただければ幸いです。 (2021年5月19日 23時) (レス) id: 984ee72405 (このIDを非表示/違反報告)
ちぷ(プロフ) - こんにちは！更新ありがとうございます。大好きのお話なので嬉しいです。彼ら揃ったところを見られないのは寂しくて仕方ないけどそれでも好きな気持ちは変わらなくてずっと占ツクでお話を探してしまっています。ゆっくりでも更新してもらえたら嬉しいです！ (2021年5月12日 10時) (レス) id: 5d7000c446 (このIDを非表示/違反報告)
RedButterfly(プロフ) - 更新ありがとうございます。楽しみにしています。 (2021年5月11日 19時) (レス) id: 51dc9e08cd (このIDを非表示/違反報告)
みゅうな(プロフ) - ぴさん» ぴ様 お読みいただきありがとうございます。ゆっくり更新になってしまいますが、楽しんでいただけたら幸いです。 (2021年5月10日 22時) (レス) id: 3992cf7183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みゅうな
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2021年5月10日 15時
