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▽残された君、迫る闇は ページ42

-side Eri-






「…彼女を、傷付けてしまったのかな」


止まり木に止まる相棒の頬を優しく撫でる。

触れられた手はただ冷たかった。

まるで死体みたいな、冷たく死んだ目と体。


今まで彼女は、どれだけ明るく振舞っていたか分かる。

何より彼女が当然のように連ねた言葉が胸を突いた。


彼女の声はトロトロとして耳に残るのに、透き通っていて、

その言葉の音一つ一つに、しっかりとした感情が込められている。

だからこそ、嘘であるかそうでないか、わかり易い。


自暴自棄になったわけでも、嫌になったわけでもない。

ただ、ただ、自己嫌悪が含まれ続ける言葉。


「…そうだな、気にしていても今は変わらない
未来をちゃんと見据えておかないと」


頬をすり寄せる相棒を見つめ、頬を緩めた時、

コンコンっとノックが響いた。


多分彼女じゃないな、彼女のノックは三回だし、

何より、ノックの途中に声をかけるから。


「誰ですか?」

「…あの…納棺師です…イソップ・カール…」


その言葉に、少し身構え扉を開ける。

マスクをつけた、白髪のイソップさんがその場にいた。


「一体、何のご用でしょうか」

「…イライさんはAさんのことが好きなんですか?」


あまりにも唐突すぎた質問。

言葉さえをも飲み込んで後ずさりしてしまう。


「急に、何を聞いて…ッ」

「僕も彼女が好きです、でもあのいつも元気な姿じゃない
時折見せる死人に似た姿…絵を描いたり集中している時の彼女が好きだ

生きたまま、あんな姿を見せれるなんて、素晴らしくて、
そんな彼女が死ぬまで追い込められたらもっと綺麗なんじゃないかと思って」


つらつらと言葉を連ねる。

まるでそれが当たり前のように伝えてくるところに吐き気がした。

なんだそれ、どういうことだ。


「きっと好きなら貴方は邪魔するでしょう
余計なことをするつもりはありません、宣戦布告です」


その目に、ただ殺意が湧いた。

絶対にそんなことさせないし、僕が止める。

未来さえも視えすぎてしまうこの眼で。


「いいですよ、お好きにどうぞ
僕だって全力で止めてやりますから」





あの人の笑顔が好きだ。

だから、できるだけのことはしよう。

▽幼い君を抱えて→←▽死んだ私はどこだろう



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蛞蝓。(プロフ) - 白黒さん» いいえ、大丈夫ですよ^^ (2019年1月3日 19時) (レス) id: b2945d23b4 (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 蛞蝓。さん» あれ……送れてませんでしたかねすみません!m(_ _)m (2019年1月3日 18時) (レス) id: 9362122ae5 (このIDを非表示/違反報告)
蛞蝓。(プロフ) - 白黒さん» 来てなかったのでこっちから送らせてもらいました…あってますかね? (2019年1月3日 18時) (レス) id: b2945d23b4 (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 蛞蝓。さん» 一応申請されてもらいましたりゅー114514ですクズとでも呼んでください((((( (2019年1月2日 21時) (レス) id: 9362122ae5 (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 蛞蝓。さん» ありがとうございます! (2019年1月2日 21時) (レス) id: 9362122ae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蛞蝓。 | 作成日時:2018年12月19日 15時

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