【第五人格】絵描きは占い師を描きたい！【イライ・クラーク】 (ページ30)

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▽ハスターページ30

『こんにちわ…えっと、ハンターさんですよね？』

「そうだ、我が名はハスター
黄昏の王と称する者なのだ」

『ハスターさんですね
俺は霧雨A、絵描きです』

ぬめりと動く触手、わずかな生臭さ。

無数の目がこちらを見る様に、背筋はぞくりとした悪寒を帯びる。

増えたその目をそらし、手に持つフクロウを一撫でしてやった。

「絵描き…もしや、リッパーが散々心配しておったやつか？」

『リッパー…さん？』

「今日のゲームから帰ってきたリッパーがな
一人のサバイバーをすごく心配しておったのだ

なんでも攻撃した時から態度がおかしくて
震えたり、戯言を吐いたりしていて随分と辛そうだったと」

そのセリフに後ろにいた真っ黒お目目の芸者と目を合わせる。

リッパーさんがそんなことを言っていたなんて、考えもしなかった。

同じ絵描きであって、二重人格で、

そのせいで、人を殺す辛さに苦しんで、

そして…俺と同じく死んだ。

あれ…なんでこんなに共感するところがあるんだろうか。

別に二重人格というわけでも、人を殺す辛さに苦しんだわけでもないが。

俺は絵を好きに描けなくて、両親や周りの威圧や視線が怖くて、

…それに、こっちだってあんまり良くないことが起きたから、

ちょっとだけ、いろいろな恐怖が重なって…ただ怯えてしまって。

『そのリッパーさんってどこにいらっしゃいますか』

心配をかけさせたまま居させるというのは申し訳ない。

何より、他の人とも仲良くなりたいのだから。

「ふむ…リッパーなら先ほど庭の方に…」

『ありがとうございます』

それだけを聞いて早めに走り出した。

フクロウと両手で抱え、ただ謝るためだけに走っていく。

「…イライも悪質なことをする」

「まぁ…そうやねあのフクロウちゃん
確か占い師と視界がつながっているはずやもんねぇ」

「監視か、ただの気まぐれか
それともまた別の目的があるのかわからんな」

芸者は口元を扇で隠し、くすくすと笑う。

少女の背を二人で見つめながら、

そのフクロウの思惑を考えながら。