ファシネイティングワールド - 1 - 【完】 (ページ29)

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なんでこんな所にいるの！？

喉から出かかったその疑問は聞こえてきたバイクの音に潰される。

嫌な予感が全身を這う。

それが冷や汗となって肌を滑り落ちる。

まさか―――…

「あ……あの…」

「あ！？」

「その……タイガさんって……暴走族の方なんですか？」

お願い、違うと言ってくれと願いながら隣に座ってる先輩に問い掛けた。

すると先輩はうざったそうに眉根を寄せ、舌打ちしながら私を見る。

「今更かよ」

そして怠惰な空気を身に纏った様で、私にとったら核爆弾ともいえる事実をぶつけてきた。

……聞いてないし！

暴走族とか、そんな人余計知る筈ないし！！

確かに私見た目は――――――自分で言って虚しいけど――――――レディースに見られるけど、中身は超パンピーだし！！

くらり、と。脳味噌が揺れたよう、目眩が襲う。

全力で帰りたくなったし、それが無理ならせめてこの場所から逃げたかった。

「わっ！」

だけど、現実はやっぱり残酷だから。

何人いるかも分からぬ無数の人だかりの前で車は急停車。

そして扉が開いたと同時に車内にいた人は外に出て、集団の輪の中へ入っていく。

どうやって逃げようと模索し狼狽えていた私も、後ろから先輩に押された事で車外に放り出された。

知らない人。知らないバイク。知らない世界。

視界に映る物全てが恐怖を煽る現況にしかならなくて、寒くもないのに体の震えが止まらなかった。

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