飾りのないまごころだけ【占い師】 ページ9
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彼には似合わない少し大きめのピクニックバスケットには、彩りの良いサンドイッチやカットフルーツが入っていた
「イライさん、料理もできるんですね…」
いただきます、と手を合わせた後サンドイッチを手に取り、ぱくっと一口
「…美味しい!特にこのベーコン、とってもジューシーで…」
「Aは本当に食べることが好きだね。」
しまった、と思い彼の方をパッと向くと慈愛に満ちた微笑みを浮かべていた
「は、恥ずかしい……」
「何でだい?いっぱい食べる子、可愛いと思うけどなぁ…」
「ほ、ほんとに…!?」
思わず彼の方へ身を乗り出す
「おっと、このまま僕も食べちゃう気かい?」
イライはサンドイッチを取りかけた手を私の指に絡めた
「イ、イライ…さん…?」
「…ここ、ついてる」
そう言って空いた方の手で私の頰に付いていたソースを指で拭った
からかうかのような彼の一連の動作に思わず頰を赤らめ石のように固まってしまった
「お天道様の前だからね…」
くくっと彼は笑うと、サンドイッチを頬張り始めた
…ずるい、大人の余裕というものは。
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「…今日は本当にいい天気だ。」
横に寝転ぶ彼は、目を閉じながらつぶやいた
「今日、誘ってくれて嬉しかったです。こんなに満たされた休日、久しぶりかも……」
目を閉じ、ふぅ…と息を吐いた
「君に喜んでもらえて本当に良かった。世の女性が想像する初めてのデートとは程遠いのが、少しばかり自分の中で引っかかっていたんだ…」
「そっ…そんなことないです!」
私は全身で否定するかのように身体を起こそうとしたが、彼もいつのまにか身体を起こしていたようで、私のことを見下ろす形になる
「…私、イライさんと行くところどこでも楽しいです。…だって、」
「…だって?」
「…す、好きな人といる、から……!」
勢いで言ってしまった愛の告白に、暫し沈黙が訪れた
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時間差でちゅ、と唇に触れたやわらかな感触に驚き目を開けると
「君は本当に可愛い事を言ってくれる。
…そうだね、君の言う通りだ。」
イライは私の髪に一輪のマーガレットを添えた
「その花は、僕の気持ち。」
そう言って彼は再び私の唇へ愛を落とす
「私、もっとイライさんのこと知りたい。…もっと、沢山聞かせて欲しい…」
甘い口づけでくらっとした頭は、彼への愛を語れと言わんばかりに私を急かす
イライは少し泣きそうな顔で微笑み、何も言わず私を優しく抱きとめた
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虫眼鏡(プロフ) - ぽむちゃんさん» ありがとうございます、リッパーとジョゼフと一緒にアフタヌーンティーをする話がみたいです…! (2019年8月11日 19時) (レス) id: fbf6ffc701 (このIDを非表示/違反報告)
setuna7014(プロフ) - えっと、ケンカップルとか、溺愛とか読みたいです… (2019年8月8日 18時) (レス) id: 9c6758aed7 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむちゃん(プロフ) - setuna7014さん» コメントありがとうございます!ナワーブ君かしこまりました!もし読みたいシチュエーションございましたら、またコメントの方へ教えてくださると嬉しいです!特になければそれでも大丈夫です('ω') (2019年8月8日 15時) (レス) id: 220fc1050f (このIDを非表示/違反報告)
ゆにゃ(プロフ) - ぽむちゃんさん» ぽむちゃん様、リクエストの期待通りな物を作って頂き有難うございます…!!すっごくすっごくキュンとさせられました(*´ω`*)有難うございました! (2019年8月8日 15時) (レス) id: f90955ba8c (このIDを非表示/違反報告)
ぽむちゃん(プロフ) - 虫眼鏡さん» コメントありがとうございます!ぜひぜひ、リクエストしていってください!! (2019年8月8日 15時) (レス) id: 220fc1050f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽむちゃん | 作成日時:2019年8月2日 18時