六月末 ページ12
「……というようなことがありました」
「そうなの。やっぱり伊黒さんは強いわね! 憧れちゃうわ」
「わかっ……わかります……」
蜜璃様が屋敷を訪れた。伊黒様は帰っていないので俺が話し相手をしている。お茶と茶菓子、なぜか種類がある上量も多い。不思議だなー伊黒様かな頼んだのは……(すっとぼけ)。まあ見繕ったのは伊黒様である。
推し語り楽しい!! 語ってる相手も推しだけど。
「毒はもう大丈夫?」
「はい。しのぶ様から薬をいただきましたのですっかり元気です」
「さすがしのぶちゃん!」
蜜璃様はしのぶ様とも仲がいいらしい。蜜璃様が元気のないとき、伊黒様はしのぶ様に聞きに行っていたから間違いないだろう。その時に『甘露寺さんが関わるとぽんこつになる』と思われたという話も聞いた。本当なら、しのぶ様とはなかなか話が合いそうな気がする。鬼に対する主義主張もそうだ。
鬼と仲良くなんてできない。……表面上は『仲良くしましょう?』と仰られてはいるが、仲良くなんてする気がないのは、なんとなくわかる。
しのぶ様は人間らしいお方だ。大切なものをすべて奪った鬼を許せるはずもない。大半の鬼は被害者以上に加害者だし。
「そういえばね、ここに来る途中とっても綺麗な紫陽花を見かけたの! やっと暇ができたし、伊黒さんと見たいなあって思ったんだけど……いないのなら、仕方ないわ。加賀見くんと行こうかしら」
「俺も用事がありますので……。伊黒様はそろそろお帰りになられると思うんですが……」
というか長く咲いてるな、紫陽花。伊黒様と蜜璃様のためか? そうなら俺は紫陽花の神を信仰する(いるのか?)。
ふと聞こえた開閉音。伊黒様に違いない。
「お帰りになられたようです。それでは俺は失礼します」
「美味しかったわ! ありがとう!」
頭を下げ、客間をあとにする。さて、尾行の準備をしなくては。幸い、今日は雨じゃない。
86人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅葉蓮(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!!あと少しで一旦完結の予定ですので、頑張ります! (2020年6月14日 19時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
二嘉 - いいなコレ。気にいったぜ☆ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 5a89568ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き読みたいです! (2020年4月27日 21時) (レス) id: 7f11035070 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - うむ。面白い!よもやよもや! (2020年3月4日 8時) (レス) id: 4b674ab2ae (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紫呉さん» いやほんとそれですよね…! (2020年2月25日 10時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅葉蓮 | 作成日時:2019年11月25日 11時