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「その通りだ。貴様は馬鹿だ」
「とろろ昆布を買いに行ってきます」
「いい。どちらにせよ俺とお前は今夜任務なのだから。その時にまで反省していなかったらくくりつける」


何に? とは聞けない。怖。伊黒様は口が悪いけれど、とにかく仲間思いの方だ。ただ仕置きに慈悲がない。

……慈悲がないので、勘弁願いたい。





街の中を駆ける。目的の森まであと少し。日が落ちるまで、あとわずか。柱の伊黒様が呼ばれたということはそれなりに強力な鬼ということだ。少なくともそこらの一般隊士では勝てない程度の。

十二鬼月だろうか。そうであってほしい気もするし、そうでない方がいい気もする。何せ奴らはひどく強力な血鬼術を用いたりする上、身体的にも優れているのだ。上弦なら柱でも危険だし、下弦でも一般隊士の大半は殺せない。

鬱蒼とした森のあちらこちらから血の匂いや悲鳴、鬼の気配。なるほど、そもそも数が多いのだ。鬼一人を相手にすることに精一杯の隊士も多いので、食われて、いたずらに被害を拡大させることにもなりかねない。近場の伊黒様が呼ばれるのも納得である。


「俺はまず首魁の首を切る。雑魚は殺れ」
「承知しました」


伊黒様は地面を切り森の奥まで一気に踏み込んだ。俺も刀を抜き、構える。ざわざわと、嘲笑する声。『懲りもせず鬼狩りが来た』『また弄んでやろう』『どのように食べようか』『生きたまま食らうのもいい』『腕を千切ってやろう』『足もだ』──うるさい。


「伊黒様の手を煩わすまでもない。蛇の呼吸、伍ノ型。蜿蜿長蛇!!」


今ので六匹の首は落ちたか。余裕ぶった声が怯えた声に変わり、まずい逃げようという雰囲気になる。絶対逃がさない。返り血で頬がぬるぬるするが、拭いもせず刀を構え直す。


「悔やむなら俺の前に立つんじゃなかったな」


伊黒様と蜜璃様の邪魔もするんじゃない(八つ当たり)。お前らみたいなのがのさばってるからあの二人が結婚できないんだよ!!! ふざけんな!!

雑魚を一掃し、森の奥へ。おそらく伊黒様は首魁を倒して隊員の保護に向かってらっしゃるだろう。隊員の保護を引き継ぎ、より伊黒様が鬼狩りをしやすいようにしなければ。

〃→←六月某日



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紅葉蓮(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!!あと少しで一旦完結の予定ですので、頑張ります! (2020年6月14日 19時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
二嘉 - いいなコレ。気にいったぜ☆ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 5a89568ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き読みたいです! (2020年4月27日 21時) (レス) id: 7f11035070 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - うむ。面白い!よもやよもや! (2020年3月4日 8時) (レス) id: 4b674ab2ae (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紫呉さん» いやほんとそれですよね…! (2020年2月25日 10時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉蓮 | 作成日時:2019年11月25日 11時

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