35、ある疑惑 ページ36
男子用更衣室から少し離れた女子更衣室へ向かっていた時だった。
貴女「ぶ⁉」
曲がり角で誰かとぶつかって尻もちをついてしまった。
相手の人も、座り込んでしまったようだ。
貴女「ご…ごめんなさい…!」
顔を上げると、そこにいたのは…
貴女「…!」
ペク「…⁉」
尋常じゃない量の汗をかいていたペクだった。
二人はしばらくの間呆然とお互いを見つめていることしかできなかった。
先に口を割ったのはペクだった。
ペク「…チッ。誰かと思えば…ジャパンの女かよ」
頭をガシガシと搔きむしりながら立ち上がったペク。
敗れたからかすごくイライラしているようだった。
そして、何かを怖がっているようにも見えた。
顔から首にかけて浮かび上がっている汗と、少しだけ乱れている息遣いがそう感じさせた。
貴女「…あの…大丈夫ですか…?」
ペク「…あ?」
貴女「どこか具合でも悪いんですか?」
今の彼はどこかおかしい。そう考えるといくら酷いことをした人でも放ってはおけない。
ペク「…何でもねぇ」
ペクは目を逸らしながらぶっきらぼうに言った。
貴女「…ならいいんですけど…」
ふと彼の肩のところに目をやると、ユニフォームが少しヨレていた。先程ソクから引っ張られていたからだろう。
そこからほんの少しだけ見える肩から、何かが青く光っているのが見えた。
貴女「…?」
不思議に思い、そこばかり見ていると…
ペク「…ジロジロ見てんじゃねぇよ」
その視線に気づいたのか、ユニフォームの肩のズレをさっと直しながらAに鋭い目つきを向けた。
貴女「あ…ご、ごめんなさい…」
青く光っていた、というのがまた不思議だが、もしかすると踏み込んではいけないことかもと思い、目線を外した。
それよりも、Aはペクにある疑惑を持っていた。
まだ確証はないが、一か八か…そう思い、口を開いた。
貴女「あの、すみません…一つ聞きたいんですけど…」
ペクは返事こそしなかったものの、目だけちらりとAの方へやった。
貴女「…豪炎寺さん、あの時目が眩んで倒れたって言ってたんです。光なんて見えなかったのに…」
Aはペクから一切目を逸らすことなく告げた。
少しでも動揺の色を見せるかもしれないから。
貴女「何か知りませんか?光の正体について…」
ペク「…へぇ?俺を疑ってんのか?」
結局はそういうことかもしれない。
あの時ペクが浮かべていた笑みに、何かあるとしか思えなかったから。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年5月27日 23時