21、吉良ヒロト・基山タツヤ ページ22
当たり前だが、再び追いかけてみてもクラリオの姿は見当たらず。
結局ハンカチは返せないまま河口湖スポーツセンターへ戻った。
貴女「はあ…」
練習の合間でも、Aは自分で自分を恨んだ。
クラリオさん困ってるかな…。私のバカ。何であそこで渡すの忘れるかね。
剛陣「ハンカチ渡しに行ってハンカチ渡すの忘れたんだって？何だよそりゃ」
貴女「…もう耳に入ったんですか」
剛陣「あれだけ騒いでたらな」
貴女「クラリオさんを前に感無量だっただけなんです…」
もう本当…こういうところが落ち着きがないってことですよね。クラリオさんは何も間違ったこと言ってませんでした。
岩戸「まあ、また渡す機会はあると思うでゴス。」
貴女「そ、そうだよね。クラリオさんには申し訳ないけど、その時までちゃんと預かっておかないと…」
「はっ。アホな奴」
貴女「あん！？」
ディスり方は灰崎君と似てるが声が違う。この声は…
貴女「げ…吉良君」
嫌な予感がする。これは…
吉良「つーかてめぇ、よく日本代表に選ばれたよな。お前のどこが戦力になるんだか」
あーこれはアレですねはい。
この方もやっぱり私をディスってくる族ですね。
わかってたけど！
永世学園との試合の時とか私色々言われてたもん。
言ってることは正論が多いかもしれないけど。
吉良「おい、聞いてんのか⁉」
貴女「き、聞いてる聞いてる！」
吉良「女だからって気ぃ抜くんじゃねーぞ。お前をお姫様扱いなんざ誰もしねぇからな」
貴女「そんなのわかってる！」
今のヒロトの言葉にはAも口を出さずにはいられなかった。
吉良「…！」
貴女「私は日本代表に選ばれた以上、男女とか年齢とか関係ないって思ってるから！私は、貴方達と同じ舞台でサッカーするの！」
甘えたりなんてしない、そのことは本人が一番肝に命じていた。
突然のAの反論っぷりに流石のヒロトも少し驚いた様子。
吉良「…ふん。少しはわかってんじゃねーか」
その時、赤い髪の少年がAとヒロトの間に入った。
「ヒロト！お前また西村さんに何か言ってるんじゃないだろうな？」
貴女「…！」
吉良「タツヤか。人聞きの悪いこと言うんじゃねーよ」
基山「大丈夫？西村さん」
貴女「あ…うん」
基山タツヤ。
この人とも一度戦っているから顔馴染みではあるが、彼のエメラルドグリーンの瞳にはAはいつも惹きつけられてしまう。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年5月27日 23時
