10、女子一人 ページ11
イナズマジャパンを乗せたバスがこれからお世話になる合宿所に向けて走る。
座席は主に学校別に座っている。
Aは氷浦と隣だ。
氷浦「イナズマジャパンには女子一人だけど、Aのお母さん心配してなかったか？」
貴女「全然？祝ってくれたし、何故かすごいニヤニヤしてたんだよね」
氷浦「えっ」
貴女「「気になる人見つけたら教えてね」だって…。全く、遊びに行くんじゃないのに」
Aがお気楽だった母の文句を言っているが、氷浦はどこか気が気じゃない様子。
氷浦「…そ…そうだよ！Aはサッカーのことを考えていればいいんだから！A…気をつけろよ」
貴女「わ、わかってるってば」
氷浦の剣幕にたじろいだが、最初からそのつもりのAだ。
氷浦「いや…だってAぼんやりしてるし、知らないうちに誰かにそそのかされないか俺…不安で…」
貴女「何か今日の氷浦お母さんみたい」
氷浦「お母さん…⁉」
男子にお母さんはショックだったようだ。
貴女「あ…ごめん」
氷浦「…その…俺がいるからさ。…寂しくなったら…俺がいつでもそばに…」
小声でボソボソ言うから、最後の方はバスの音に消されてしまった。
貴女「え？何？」
氷浦「な、何でもない！…家族とものりか達ともしばらく離れることになって、寂しくないかなって」
私のこと心配してくれたのか。
やっぱ優しいな、氷浦は。
貴女「私は大丈夫！マネージャーさん達も氷浦達もいてくれるし。ありがとう心配してくれて。」
そう言うと氷浦は顔をほんのり赤くした。
氷浦「お…俺も、Aがいてくれるから、寂しくない…よ」
何てことを言うのでしょうこの子は。
私なんかよりよっぽど天使の異名がふさわしいよね本当に。
貴女「そっかそっか！そりゃありがとう！」
Aは嬉しそうに笑ったが、氷浦は顔を赤くしたまま腑に落ちない表情だった。
氷浦(Aはわかってない。俺は本当に心配なのに。Aがこれからたくさんの人と関わっていくことが。)
そんな氷浦の想いなど、Aはまだ知るよしもない。
貴女(…これから、頑張らないと)
Aは、お守りをぎゅっと握りしめ、強く意気込んだ。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年5月27日 23時
